2011年2月16日(水)「しんぶん赤旗」

鳩山前首相の「抑止力は方便」発言

辺野古「移設」合意破たん示す

普天間無条件撤去こそ


 鳩山由紀夫前首相は13日付沖縄地元紙のインタビューで、民主党の政権公約だった米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「県外・国外移設」を断念した理由として在沖縄米海兵隊の「抑止力」の重要性をあげたことは、後付けであり「方便だった」と語りました。

民意もて遊ぶ

 これに対して、普天間基地の「移設」先とされる同県名護市をはじめ、強い怒りの声が起こっています。

 インタビューで鳩山氏は、2009年の総選挙で「最低でも県外(移設)」と発言したことについて「しっかりと詰めがあったわけではない」と回答。また、公約断念の背景を「閣僚は今までの防衛、外務の発想があり、もともとの積み重ねの中で、国外は言うまでもなく県外も無理だという思いが政府内にまん延していた」と語っています。

 09年総選挙で掲げられた「県外・国外移設」の公約に託された国民・沖縄県民の民意が、基地推進の自公政権を終わらせる原動力の一つでした。鳩山氏が明らかにした公約のいいかげんさ、官僚にふりまわされる「政治主導」の実態、「抑止力は方便」という後付け理由は、民意をもてあそぶものに他なりません。民主党には国民の負託に応えて政治を行う資格がないことを示したと言えます。

欺瞞性明らか

 同時に、鳩山氏の発言は名護市辺野古「移設」を明記した日米合意の根拠ともされ、自公政権時代から続く「抑止力」論の欺瞞(ぎまん)性をより明らかにしました。

 鳩山前首相は、インタビューでこうも語っています。「相手は沖縄というより米国だった。最初から私自身が乗り込んでいかなきゃいけなかった」

 鳩山氏が首相として沖縄で辺野古「移設」を表明した昨年5月の同じ時期、日本共産党の志位和夫委員長は米国でケビン・メア米国務省日本部長らと会談し、「普天間問題解決の唯一の道は、無条件撤去しかない」と強く求めていました。

 今、菅政権がとる道は日米合意を撤回し、普天間基地の無条件撤去をアメリカに求める以外にありません。 (洞口昇幸)


鳩山氏のインタビュー(抜粋)

 「党として『最低でも県外』と決めてきた。鳩山個人の考えで勝手に発言したというより党代表として党の基本的考えを大いなる期待感を持って申し上げた。見通しがあって発言したというより、しなければならないという使命感の中で申し上げた。しっかりと詰めがあったわけではない」

 「防衛省も外務省も沖縄の米軍基地に対する存在の当然視があり、数十年の彼らの発想の中で、かなり凝り固まっている。動かそうとしたが、元に舞い戻ってしまう」

 「徳之島も駄目で辺野古となった時、理屈付けをしなければならなかった。海兵隊自身が(沖縄に)存在することが戦争の抑止になると、直接そういうわけではないと思う。海兵隊自身の抑止力はどうかという話になると、抑止力でないとみなさん思われる。私もそうだと理解する。それを方便と言われれば方便だが。広い意味での抑止力という言葉は使えるなと思った」(「琉球新報」13日付から一部抜粋)





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