2011年2月16日(水)「しんぶん赤旗」
米予算教書
国防費 兵器調達など5531億ドル
戦費圧縮も本体は増
【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領は14日、2012財政年度(11年10月〜12年9月)予算教書を議会に提出し、国防予算では6710億ドル(1ドル=約83円)を要求しました。イラク駐留米軍の撤退を進めて戦費は圧縮していますが、それを除く国防費本体は前年要求額より0・7%伸びており、財政赤字圧縮策で公務員給与や貧困層支援などが削減されるなかでの増額となりました。
予算本体は5531億ドルで、新たな兵器調達や開発に約2000億ドルを計上しました。最新鋭のバージニア級攻撃型原潜2隻を建造するほか、次世代主力戦闘機F35の開発費用などを計上しています。
アフガニスタン、イラクを中心とする戦費は1178億ドルで、前年度から414億ドル減少しました。うち、アフガン関係は前年度より微減の1070億ドル、イラクは70%以上減少しました。
アフガン、イラクなどこれまでの「対テロ」戦費は、今年は06年以降でもっとも少なくなっていますが、累計で1兆ドルを突破し、財政を大きく圧迫しています。
国防予算の要求総額は、前年度から372億ドル減少しました。第2次世界大戦後最大規模の予算は維持されているものの、巨額の財政赤字のもと、国防総省への歳出削減圧力も強まっています。ゲーツ国防長官は1月、今後5年間で780億ドルの節約策を表明。今回の要求内容も、同策に沿ったものです。
核兵器関連では、エネルギー省所管の核安全保障局(NNSA)の予算要求額は118億ドル。76億ドルが、核兵器の保全・維持に使用され、10年度実績から12億ドルの増額となりました。また、25億ドルを核不拡散対策向けに要求しています。
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