2011年2月13日(日)「しんぶん赤旗」

ムバラク大統領辞任

エジプト 軍が「暫定」政権

民主主義求める国民が追い込む


 【カイロ=伴安弘】1981年から30年間政権についていたエジプトのムバラク大統領が11日、辞任し、タンタウィ国防相を議長とするエジプト軍最高評議会が「暫定的」に全権を掌握しました。反政府デモが1月25日に起きてから18日目。30年間の非常事態令下での警察権力の横暴と自由の抑圧、高失業と貧富の格差などに対する怒りに加え、民主主議を求める国民の行動が大統領を退陣に追い込みました。


地図:エジプト

 スレイマン副大統領はこの日夕、国営テレビで、ムバラク大統領の辞任と軍最高評議会への権力移譲を明らかにしました。今後、軍部の統治の下に現憲法の改正など一連の改革が進められ、9月に大統領選挙が行われることになります。

 軍部の権力掌握を懸念する声も一部にありますが、反政府デモ参加者に中立で、「国民に銃を向けない」という姿勢を示し、公正な選挙を約束している軍には多くの国民が信頼を寄せているとみられます。

 ムバラク大統領は辞任発表を前に、シナイ半島の保養地シャルムエルシェイクに向かいました。スイス政府は同日、同氏と関連あるとみられる資産と銀行口座を凍結したと発表しました。

 ムバラク政権与党・国民民主党の事務局長に就任したばかりのバドラウィ氏もムバラク氏の辞任発表直前に辞任。離党も表明し、「エジプトは新しい考え方を取り入れる新しい政党を必要としている」と述べました。

 ムバラク氏は前日の10日、9月の大統領選挙まで任期を全うする姿勢をとりながらも、大統領権限をスレイマン副大統領に委譲。「即時辞任」をかわそうとしました。しかし、「即時辞任」を求める11日のデモは予想を超えて拡大。カイロ中心部タハリール広場には金曜礼拝後の午後、続々と人が押し寄せました。人の波は広場を越え、ナイル川沿いの道や橋もいっぱいに。デモは大統領府やテレビ局前、議会前でも行われました。

 参加者らは「ムバラクの政権下で、多くの不正・腐敗があったし、増えていた」(学生)、「彼が何を約束しても誰も彼のいうことなど聞かない」(技術者)という声が聞かれました。

 アレクサンドリアをはじめ多くの都市でも反政府デモが広がりました。





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