2011年2月8日(火)「しんぶん赤旗」

エジプト 始まった対話

“デモは国民の真摯な運動”

反政府代表に副大統領認める


 【カイロ=伴安弘】エジプトのスレイマン副大統領は6日、反政府デモの代表や野党勢力との協議を開始し、30年におよぶ非常事態令の撤廃や憲法改正にむけた委員会の設置で合意したと発表しました。野党勢力などはあくまでムバラク大統領の即時退陣を要求しており、今後の成り行きは予断を許しませんが、対話が始まったことで、一つの転機を迎えたといえます。


 国営テレビなどによると、政府は協議のなかで、1月25日に始まった反政府デモを「国民の真摯(しんし)な運動」と認めました。

 さらに、(1)非常事態令の撤廃と「治安」を理由にした人々への脅迫の停止(2)報道と通信の自由の確保(3)憲法改正準備委員会の1カ月以内の設置(4)政治囚に関する訴えを受け付ける事務所の設置(5)不正・腐敗に関わった人物を訴追する司法委員会の設置(6)政治や経済の改革を約束したムバラク大統領の演説(1日)の実践(7)以上の合意を監視する民間人、専門家、青年運動代表からなる委員会の設置―などで合意しました。

 政府は、反政府デモ参加者への脅迫や暴行、インターネットや携帯電話を利用したメッセージの交換の妨害を今後行わないことにも同意しました。

 首都カイロ中心部のタハリール広場に陣取る反政府デモ参加者らは、対話は解決に向けた第1段階だと評価する一方、政府の譲歩は不十分だと主張。青年代表のハレド・ハメエドさんは「われわれは第一の要求(ムバラク退陣)が実現するまで圧力を強めていく」と語りました。

 一方、エルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長を支持するグループの代表、モスタファ・アルナガル氏は、合意に署名しなかったことを明らかにし、「人々は依然、大統領の辞任を求めている」「(合意の実行に)どんな保証もないし、すべての要求が満たされたわけでもない」と述べました。

銀行 1週間ぶり再開

 【カイロ=伴安弘】反政府デモが続くエジプトでは、閉鎖されていた銀行や一般の会社が6日、1週間ぶりに再開しました。一方、証券市場はこの日からの再開予定を突然変更し、閉鎖されたままです。

 外出禁止令は午後7時から翌朝8時に緩和されています。この日は一部の学校も1週間ぶりに再開しました。

 一方、ラドワン財務相は4日、1月25日に反政府デモが始まって以来の混乱で生じた国民の損害補償のために、50億エジプトポンド(約700億円)の基金を設立したと語りました。ファウジ貿易相は同日、エジプトの1月の輸出額が6%低下したと述べました。ただ、どの時期との比較かは明らかにしていません。





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