2011年2月2日(水)「しんぶん赤旗」

みんなの党「アジェンダ」

道州制・TPP参加

自民党政治の焼き直し


 みんなの党は1月29日、結党以来初となる党大会を開き、いっせい地方選挙に向けて「ローカルアジェンダ(地方政策)」と環太平洋連携協定(TPP)参加を中核とする「農業アジェンダ」を採択しました。

 渡辺喜美代表はあいさつで、「自民党も民主党も官僚任せの大きな政府」だと切って捨て、自らをその「対極」にある「政策イノベーション(改革)」の党だとアピールしました。しかし、「大会宣言」で「『小さな政府』、『民間主導』、『市場メカニズム重視』、『成長路線』、『尊農開国』」を強調したように、同党のアジェンダは財界・アメリカの要求にストレートに応える「構造改革」=「小泉改革」をより極端にしたものです。自民党政治の「対極」どころか、その焼き直しにすぎません。

消費税の地方税化

 「ローカルアジェンダ」の中心は、「地域主権型道州制」の推進、消費税の地方税化と公務員人件費の2割削減です。

 「道州制」をめぐって同党は、総選挙・参院選マニフェストで「国の中央省庁の役割は、外交・安全保障、通貨、マクロ経済、社会保障のナショナルミニマムに限定し、大幅に縮小・再編」すると主張しており、雇用や社会保障に対する国の責任を「道州」に丸投げする構想です。「道州制」は、日本経団連の提言では「究極の構造改革」と位置づけられています。

 消費税増税について「増税の前にやるべきことがある」といいますが、「やるべきこと」であげているのは、公務員の人件費削減と国・地方の議員定数削減です。

 「民間の給料が下がりつづけているが、地方でも官だけ給料が上がっている」(浅尾慶一郎政調会長)といいますが、民間での失業増、不安定雇用、所得の減少への対策は全くないまま、公務員給与の削減や社会サービスのカットで“切り下げ競争”をあおる同党のやり方は、景気をさらに冷えこませ、民間の賃金もさらに下がるだけです。

 議員定数の削減は、国民の声を国政や地方政治に届かなくさせるものです。地方の役割を強めるといいながら地方議員を「半減」させるというのは自己矛盾です。「平成の大合併」で地方議員定数が大幅に削減され、住民の声が届きにくくなっているなかで、さらに半減すれば地方自治は破壊されます。

株式会社農地参入

 みんなの党の「アジェンダ」のもう一つの柱が「尊農開国」です。「農業アジェンダ」では「TPPを絶好の機会」とし、株式会社の参入規制の撤廃や、「大胆な農地集積」による大規模化・効率化を掲げています。

 「TPP参加を明言している唯一の党」(江田憲司幹事長)と胸を張りますが、財界・アメリカの要求に最も先鋭的に応えるものにほかなりません。株式会社の農地参入は、財界が長年要求しつづけ、自民党政治のもとでもなかなか実現できなかったものです。

 株式会社の農地参入は、農業強化どころか、農産物市場の開放などで生じる耕作放棄地に企業を展開させる狙いで財界が主張してきたもの。しかも営利優先の企業が参入すれば、農地を投機の対象にしたり、もうからなければ撤退し、耕作放棄地が増えるなど、国土の荒廃をもたらすだけです。「尊農」どころか農業破壊の道です。

 またTPPは、農業のみならず、金融、保険、医療、看護師などの労働力の自由化をめざす点で、米国や財界の「規制緩和」の要求に応えるものです。

 渡辺代表は大会前日の記者会見で「私の選挙区の市議会、町議会は全部TPP反対の決議をやっているが、候補者擁立はできている。要は覚悟の問題」などと開き直りました。しかし、江田幹事長が大会報告で、地方選の候補者擁立について「残念ながら地方に行けば行くほど数が減っていく」とのべるなど、国民との矛盾の深さが浮き彫りになっています。(中祖寅一)





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