2011年1月26日(水)「しんぶん赤旗」

イレッサ訴訟 国も和解勧告拒否へ

原告ら抗議「二重三重の苦しみ」


 肺がん治療薬イレッサをめぐり、患者や遺族が国と輸入販売元のアストラゼネカ(大阪市)に損害賠償を求めた訴訟で、政府は25日までに、和解金の支払いなどを国と同社に求めた東京、大阪両地裁の和解勧告に応じない方向で最終調整に入りました。既に同社は拒否の意向を両地裁に伝えています。

 原告団・弁護団は「被害者及び遺族に対し、二重三重の苦しみを与えるものであり、到底許されるものではない」として、国と同社に勧告を拒否せず協議のテーブルに着くよう強く求めました。

 細川律夫厚労相は25日の閣議後会見で「慎重に検討している。まだ結論は決まっていない」と語りました。

 両地裁は勧告で、重い副作用の間質性肺炎に関する同社の注意喚起は不十分だったと指摘。厚生労働省の行政指導も足りなかったとして国の責任を認め、和解勧告の回答期限を今月28日としていました。

 厚労省は勧告を受け、官邸サイドや法務省と対応を協議しました。その結果、「安全対策に違法性はなく、和解を受け入れれば新薬の承認に影響を与えるなど、薬事行政の根幹に関わる」として、責任を認めた勧告には応じられないとの見解を強めているといいます。





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