2011年1月21日(金)「しんぶん赤旗」

閣僚次々 “沖縄ラッシュ”

米軍基地建設へ圧力

知事と会談 名護市長訪問はゼロ


 米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「移設」問題で、昨年11月の沖縄県知事選以降、菅直人首相や前原誠司外相、岡田克也民主党幹事長、北沢俊美防衛相など関係閣僚、党幹部の“沖縄訪問ラッシュ”が続いています。(洞口昇幸)


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(写真)菅首相の到着に抗議する県民=2010年12月17日、那覇市

 多くが仲井真弘多知事と会談する一方、「移設」先とされている名護市の稲嶺進市長との会談はゼロです。もともとは名護市辺野古への「移設」推進派だった仲井真氏への淡い期待を寄せるとともに、名護市に圧力をかけている形です。

 「県民への公約で(普天間基地の)県外移設という考えを承った。ただ、(県内移設から)遠ざからないようにお願いしたい」

 20日、仲井真知事と会談した北沢防衛相はこう述べ、普天間基地の県内「移設」反対の県民世論を理解するそぶりを見せつつ、辺野古「移設」への協議から離れないよう求めました。

 21日から訪問する枝野幸男官房長官も「こちらから足を運んで話を聞かせていただくことが重要だ」と一見、低姿勢を示していますが、実態はそんな生易しいものではありません。

 相次ぐ訪問は、アメリカの要求通りに辺野古「移設」(新基地建設)を押し付けるためです。

米政権と約束

 菅首相は昨年11月の日米首脳会談や今年1月13日に来日したゲーツ米国防長官との会談で、辺野古新基地建設推進の立場をくり返し強調しています。

 前原外相は、辺野古新基地建設を明記した日米合意(昨年5月)を受け入れなければ、「世界一危険」と言われる「普天間基地は継続使用になる」と、露骨な“脅し”をかけて県民から強い批判を受けました。

 政府サイドの相次ぐ沖縄訪問にもかかわらず、稲嶺名護市長との会談は一度も行われていません。一方で、政府は保留していた同市への米軍再編交付金の2009年度の繰り越し分と10年度分を交付しないことを表明。北沢防衛相は、「辺野古移設に反対しているからだ」と公然と述べています。辺野古「移設」推進派だった島袋吉和前市長が再編交付金で行っていた事業のめどがつかなくなり、県民からは“兵ろう攻め”との批判が相次いでいます。

 さらに、辺野古に沖縄防衛局の出先事務所を設置する動きがあります。防衛省が政策への理解を促す「防衛セミナー」を今年1月25日、名護市からスタートさせます。

世論理解せず

 もともと菅民主党政権は昨年11月の県知事選でも仲井真氏を実質的に支援。「仲井真氏が当選すれば何とかなる」の思惑がありました。しかし、それは仲井真氏に普天間基地の県外「移設」を言わせた県民世論の力強さをまったく理解していません。

 日本の安全保障に詳しい元政府高官は、「日本のどこにも移設先はない、辺野古も無理、普天間基地は永続させてはいけない、論理的には沖縄から米海兵隊はいなくなるしかないとなる。アメリカは常に複数の選択肢を検討している。辺野古案は絶対ではない」と述べます。


(語録)

 菅首相

 「辺野古『移設』はベストではないがベター」(仲井真知事との会談)

 前原外相

 「日米合意を受け入れなければ普天間基地は継続使用」(那覇市内での会見)

 北沢防衛相

 「グアムへの訓練移転で理解を」(仲井真知事との会談)

 岡田幹事長

 「辺野古『移設』に代わるものがない」(那覇空港での会見)

閣僚らの動き

 2010年

 12月

 13日

 福山哲郎、滝野欣弥の両官房副長官が仲井真弘多知事と会談

 17、18日

 菅直人首相が知事と会談

 21日

 前原誠司外相が知事と会談

 2011年

 1月

 9、10日

 岡田克也民主党幹事長が安里猛宜野湾市長や党沖縄県連幹部と会談

 11、12日

 馬淵澄夫沖縄担当相(当時)が知事と会談

 19、20日

 北沢俊美防衛相が知事と会談

 21、22日

 枝野幸男官房長官兼沖縄担当相が訪問(予定)

 下旬

 前原外相が訪問(予定)





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