2011年1月17日(月)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 わが地域の、ある集まりでのこと。町内に7、8年前にできた巨大マンションが話題になりました▼「あそこに住む年配の男性が公民館の行事によく来る。彼がいうんだよ。隣にどんな人がいるのか、いまだに分からないって」。彼は、マンション内で得られない人とのふれあいを求め、公民館に来ます▼「そういえば、集合ポストに名前を出さない人もいると聞く。他人とのかかわりを避けて」「しかし、大地震が起こったらどうなるんだろう。助け合わないと…」。会話を聞きながら、余計な心配ですめばいいが、と思ったのでした▼テレビをつけたら、炎と黒い煙のあがる神戸の町が映っていた、あの朝から16年。助け合いが合言葉だった大震災でしたが、後に復興公営住宅で誰にもみとられずに孤独死した人は680人を超します。ほとんどが、みずから孤立を求めた人ではないでしょう▼そして今、「無縁社会」とよばれる現実が様々な形でわが国に広がっています。大震災が発した警告を、社会が受けとめ切れていません。こんな調査もありました。犠牲者のうち、生活保護を受けていた人の死亡率は平均より5倍も高かった。住宅事情が悪かったから―。震災がさらした、格差社会のありさまです▼しかし、阪神淡路大震災のあと、政・財・官ぐるみで格差・貧困をひどくしました。派遣労働しか仕事のない若者。ふえる一方の、生活保護を受けざるをえない人…。きょう、6434人の犠牲者の無念の声にじっと耳をすます日です。





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