2011年1月16日(日)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 うわさにたがわぬ大にぎわいです。知人の「おもしろいから行っといで」の勧めに従い、世田谷ボロ市へ出かけました▼東京都世田谷区世田谷。むかし代官屋敷のあったあたりの通りに、約700の出店が並びます。路面電車の駅を出たとたん、行列が始まりました。ある、ある。衣類なら、帽子から履物まで和・洋を問いません▼鉢植え。食器。台所用や大工仕事、農作業の道具類。おもちゃはゲーム機から市川雷蔵の絵のめんこまで。仏具に神棚。ブロマイドに骨董(こっとう)…。人だかりをかきわけると、一箱50枚100円のマスクでした▼ボロ市の始まりは433年前、といいます。小田原城主の北条氏政が開いた楽市でした。市場税を取らず、自由な商売を認めた楽市。北条氏が豊臣秀吉に滅ぼされ、さらに徳川の時代に、市は廃れます。農民のわらじに編みこむ布などを商う、文字通りボロ市に▼しかし、町人たちは市の伝統を守り続け、明治以降、20世紀に新たなにぎわいを取り戻しました。12月と1月の15・16両日の催しに、いまは1日あたり20万から30万の人出といわれます。東京都の無形民俗文化財にも指定されました▼もっとも、人の多さと財布の重みは比例しません。薩摩焼のつぼにひかれて入った骨董の店。30年店を出す主が嘆きました。「5、6年前に比べ10分の1の売り上げだね。不況だよ。100円の置物を買うかやめるか、半日迷うお客さんもいた。あんたは300円ぐらいで迷うくちかい?」。見透かされていたようで。





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