2010年12月23日(木)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 今月、わが国の弁護士が3万人を超えたもようです。1日現在2万9千人近く。新たに法曹資格を得た約2千人のうち、大半が弁護士になったとみられます▼そんなことし、あらためて2人の弁護士の業績をしのびたい。1人は布施辰治です。戦前から、被告が無実の罪をきせられた事件、労働者や日本共産党への弾圧事件の弁護にあたりました▼仕事の場は、日本の植民地だった朝鮮、台湾におよびました。朝鮮には、独立運動を起こし弾圧された人々の弁護などで、たびたび訪れています。没後51年の04年、布施は韓国政府から日本人初の「建国勲章」を贈られました▼日本の「韓国併合」から100年。日韓友好のさきがけ布施辰治の信条は、すべてを「民衆の権威のため」に、でした。さて、もう1人の弁護士とは、「大逆事件」の被告の弁護で名を残す平出修です▼100年前、天皇暗殺をたくらんだかどで、幸徳秋水ら数百人の社会主義者や無政府主義者が捕まり、翌年1月、24人に死刑が宣告された「大逆事件」。歌人でもあった平出は、歌の先輩の与謝野鉄幹に被告2人の弁護を頼まれます▼彼は見破ります。権力が筋書きを描き、かかわりのない多くの人を陥れる事件だ、と。歌仲間の石川啄木は、彼から事件について詳しく知らされ、社会主義へと近づきます。平出も後に、裁判体験を小説「逆徒」に書き権力に反抗します。ファーブル『昆虫の社会』の出版が、「社会」の文字がだめだと禁じられる“社会主義冬の時代”でした。





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