2010年12月15日(水)「しんぶん赤旗」

民主 またまた公約破り

「思いやり予算」維持


 後期高齢者医療制度の廃止見送りや障害者自立支援法の「延命」など、民主党政権による公約破りの歴史に、新たな1ページが刻まれました。

 民主党が野党時代、「国民の理解が得られない」などとして厳しく批判し、昨年の総選挙でも「見直し」を公約していた在日米軍「思いやり予算」の総額(今年度1881億円)を維持するとともに、来年3月末で期限が切れる特別協定の期間を現行の3年から5年に延長することで米側と意見の一致をみたと発表したのです。

 2008年4月25日。民主党や日本共産党など野党が多数を占めていた参院本会議で「思いやり予算」特別協定が否決されました。参院での条約・協定の否決は戦後初であり、日米両政府に大きな衝撃を与えました。

 結果的に自公が多数を占めていた衆院の議決が優先されましたが、民主党は、(1)厳しい財政事情のなか、安易に米軍駐留経費を負担することは国民の理解を得られない(2)他の米同盟国と比較しても、日本の駐留経費負担は突出している(3)米国の経費節減の取り組みについて、十分に説明していない(4)米兵による犯罪などで、米側に言うべきことを言えない政府の姿勢に問題がある―などを挙げて反対しました。(藤田幸久参院議員、同日の衆参両院協議会)

 これらは今日も「思いやり予算」への反対理由として有効であると同時に、自公前政権同様のアメリカいいなり路線に後退した菅民主党政権への批判として、そのまま適用可能な論理です。

 北沢俊美防衛相は14日の記者会見で、「今の段階で(思いやり予算の)総額を維持するのが妥当」と述べました。08年当時と根本的に矛盾する合意をしておきながら、なぜそう言えるのか。何の説明もありません。

 もともと「思いやり予算」は日米地位協定上、日本側に支払い義務はありません。日米安保条約を肯定する立場であっても、安易に支払うものではないのです。しかも、今は現行協定が批准された当時より、さらに財政は厳しい状況です。特別協定を審議する次期通常国会で、徹底的な説明責任が求められます。

 また、参院では08年当時と同様、野党が多数を占めています。すでに政府内では、「自民党は反対しない」などの観測が流れています。各党の姿勢が鋭く問われます。(竹下岳)





■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp