2010年12月8日(水)「しんぶん赤旗」

主張

アジア・太平洋戦争69年

世界と日本に平和を築く責任


 戦前の日本が、当時イギリス領だったマレー半島と、アメリカのハワイを攻撃、アメリカ、イギリスを相手に戦争を始めた1941年12月8日から69年を迎えました。日中戦争に続く、アジア・太平洋戦争の開戦です。

 それから3年半後戦争に敗れた日本は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」ことを憲法にうたいました。戦後65年、日本国民はいくたびも戦争への動きをくいとめてきました。世界と日本に平和を築くことこそ、アジア・太平洋戦争で大きな被害をもたらした日本の責任であり、国民の決意です。

「二度とたたかわない」

 全国革新懇の代表世話人の一人として活躍している品川正治さんは、アジア・太平洋戦争のさなか、中国戦線に動員された経験を持ちます。その品川さんがこの秋出版した『手記 反戦への道』の中で、終戦直後捕虜収容所で「終戦―日本は二度と戦わない!」という文章を書いたと紹介しています。

 「日本は二度と戦争はしない。未来永劫(えいごう)、戦争はしない。二度と他国に兵を出さない…」

 はらわたから搾り出すようなこのことばは、ひとり品川さんだけでなく、多くの国民に共通のものだったでしょう。中国侵略からアジア・太平洋戦争へ、15年間にわたった戦争は、それほど重大な被害を日本国民に与え、日本が侵略した朝鮮半島や中国をはじめ、アジアの国々にもたらしたのです。

 日本国民は310万人以上、アジア諸国民は少なくとも2000万人が犠牲になったといいます。しかし、その被害の大きさは、決してこうした数字だけではいいつくせません。

 親やきょうだいを奪われ、家や財産を焼かれた人たち…。戦後半世紀以上たっても、戦争に動員され、命は助かっても長期間抑留された人たちや、無差別でおこなわれた大空襲の被害者が補償を求め、広島、長崎の原爆の被害者は深刻な後遺症で苦しんでいます。朝鮮半島や中国からの「強制連行」被害者や、いわゆる「従軍慰安婦」の人たちへの補償も未解決です。「被害」も「加害」も、戦争体験から逃れることはできません。

 ことしは日本が侵略した朝鮮半島に押し付けた「韓国併合」(1910年)から100年の節目でした。来年は日本が当時「満州」と呼んでいた中国東北部で戦争を起こし、「満州国」を称するかいらい政権をでっち上げた「満州事変」(1931年)から80年にあたります。日本政府はいまだに「韓国併合」は「不法・不当」だったとは認めていません。戦争の惨禍を改めて思い起こし、「日本は二度とたたかわない」との決意を新たにすることは、いまなお重要です。

戦争のない世界のため

 歴史は無駄には過ぎ去っていません。戦後の日本が、日本を戦争に巻き込む危険な企てをはねかえしてきたのは、憲法を生かし、国民がたたかってきたからです。

 国際的にも、国と国の紛争を戦争ではなく政治的・外交的に解決する平和の国際秩序が前進しています。平和の地域共同体のネットワークも世界に広がっています。

 こうした平和の流れを押し広げ、日本だけでなく、アジアと世界の平和を実現していくことこそ、日本が「二度とたたかわない」決意を世界の現実にしていく道です。





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