2010年11月30日(火)「しんぶん赤旗」

主張

大学予算

将来見すえて大幅な増額を


 菅直人内閣がすすめる大学予算の大幅削減に対して大学関係者の怒りと運動がひろがっています。

 「予算削減は絶対に許せない」と、大学では学長を先頭に学内集会や街頭署名がとりくまれています。全国大学高専教職員組合など5団体は、12月1日に大規模な国会要請行動をくりひろげます。全日本学生自治会総連合は各地で「削減ストップ」のポストカード、署名などにとりくみ、12月17日には国会要請行動を行います。地方議会でも「削減中止」を求める意見書が採択されています。

知的基盤としての役割

 来年度予算の概算要求で文部科学省は、国立大学の運営費交付金で5%、560億円削減し、私立大学の国庫助成では12・6%、406億円削減しています。そのかわりに、「元気な日本復活特別枠」に、プロジェクト的な教育研究費や学費免除枠などの経費を要望していますが、この要望額が認められなければ、大学予算は大幅削減となります。

 内閣府の「特別枠に関する評価会議」は、文科省の要望額が多いことを理由に「厳しく査定する」と表明するなど、大幅に削減する姿勢を示しています。他方で、同じ「特別枠」の米軍への「思いやり予算」は満額を認めようとしています。これほど理不尽な態度はありません。学長も、教職員も、学生、院生も、心の底から怒るのは当然です。

 日本の大学は、近年のノーベル賞受賞にもみられるように高いレベルの基礎研究を担い、社会発展の担い手を育て、地域社会にも貢献するなど、知的基盤としての役割を果たしています。学術、教育の発展は「国家百年の計」であり、将来をみすえた大学への投資こそ、21世紀の社会発展に貢献します。

 ところが国立大学は、国からの運営費交付金が、法人化以後6年間で830億円も削減されました。各大学で「教員が30人減った」、「教育研究費が半減した」など、授業が満足にできない事態になっています。日本共産党が各地で行った学長との懇談でも、「これ以上予算が減ったら大学はもたない」との強い危機感が示されました。

 私立大学では、中小私学を中心に「定員割れ」がひろがる一方で、国庫助成が削減されつづけたために、経営危機に直面する大学が少なくありません。高学費と経済危機のもとで、学業をあきらめる学生も急増しています。

 にもかかわらず、菅内閣は、新たな大企業支援策を中心とした「新成長戦略」推進のために、各省庁の予算に1割削減のシーリングをかけ、この方式で大学予算の削減を今後3年間つづけようというのです。こうしたやり方は、学術、教育を崩壊に導き、社会の活力を衰退させるもので、重大な禍根を残すことになります。

欧米並みの予算水準に

 これまでの大企業応援、アメリカいいなりの政治姿勢から抜け出し国民の立場にたって予算編成方針を根本的に変えれば、大学予算を大幅に増やすことができます。先進国の最低水準にとどまっている大学予算を、欧米並みの水準に思いきって引き上げるべきです。

 日本共産党は、大学予算の削減を許さず、大学危機を打開するために、大学関係者のみなさんとの共同をいっそうひろげ、国会内外で力をつくす決意です。





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