2010年11月25日(木)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 演習かと思っていたら突然、自宅に砲弾が降ってくる。あっという間に火の海と化した街から逃げ惑う人々…▼北朝鮮の砲撃にさらされた延坪(ヨンピョン)島で、あるいは韓国本土で、60年前の朝鮮戦争を思い起こす人もいたのではないでしょうか。同じ民族同士がたたかい、数知れないほどの人命が奪われた朝鮮戦争。二つの世界大戦を除き、20世紀でもっとも犠牲者の多い戦争でした▼一つの村の住民が、昼は韓国軍に「お前(まえ)は北側に協力した」といって殺され、夜は北側に「お前は南の軍に協力した」といって殺される。肉親までもが殺しあう。53年の休戦協定は、「ばく大な苦痛と流血」を省み、武力行為を一切やめるとうたいました▼署名したのは、国連、北朝鮮、中国志願軍の軍司令官。国連軍総司令官は、アメリカの陸軍大将でした。韓国は、「北進」を唱えて署名を拒みました。しかし、後に南北も「和解」「不可侵」で合意します▼なのに北朝鮮は、朝鮮戦争後で初めて、民間人が住む地域をねらって砲撃しました。無法そのものです。休戦協定に、延坪島の名も登場します。国連軍、つまり南側の支配下に置く島の一つとして▼北朝鮮の思惑の一つは、主にアメリカから食料や燃料の支援を引き出すため、といわれます。ならば軍につぎ込む人と金を初めから経済に生かした方がいいと、憲法9条をもつ日本が戦後ある時期までに証明ずみです。北朝鮮の無法を理由に、平和創造と繁栄への道しるべ、9条を変えようというのなら、話が逆です。





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