2010年11月24日(水)「しんぶん赤旗」

来年度から週1時間必修化

小学校・外国語授業は今

教員にも不安「専任教員を」


 2011年度から小学校5、6年生に週1時間の外国語活動が必修になります。09年からの移行措置で既に5割の小学校で、週に1回の外国語活動が行われています。子どもは楽しくとりくめているのか、現場のようすを取材しました。(染矢ゆう子)


CDで発音練習

 東京都江東区のある小学校の公開授業。5年生を担任する男性教員は、「下手くそな英語を聞かせたくない」と英語は極力話しません。CDで英単語の発音を練習し、聞こえた英単語をカードで答えるゲームに子どもたちは興味津々。英語の歌に耳をすまし、手拍子でリズムを取ります。

 2週間に1回、外国人の指導助手が来ます。

 担任の先生と外国人の先生の授業を「どっちも好き」と話す女の子。でも、CDだと聞き返すことができないので「わかりやすいのは外国人の先生。ときどき聞き取れないけど」といいます。恥ずかしがりやの男の子は「英語は嫌い」とぼそり。みんなの前で発音するのが苦手なようです。

 「外国語」といっても中心は英語です。「『活動』であって『学習』ではない」とされ、英語が専門でない担任が教えてもよいことになっています。

 もともと中央教育審議会の答申では、「ネイティブスピーカー(英語が母語の人)とのTT(チームティーチング=複数の教員で教える)を原則とする」となっていました。それを学習指導要領では「学級担任の教師又は外国語活動を担当する教師が行う」と変えてしまいました。

「自信ない」とも

 いま小学校にいる教員は大学の教職課程で英語の教え方を学んでいません。英語が母語の指導助手を配置している自治体もありますが、自治体の財政によって格差があります。

 東京都世田谷区の男性教員は、「英語を習ってきていないので、自信がない」と話します。「話せないので、映像やCDなどに頼っています」。土日も出勤し、教材をさがしています。

 東京都荒川区では、英語教育特区として、小学校の全学年で週1時間担任が教えています。

 同区の男性の教員は「本当に英語の力をつけているのか、英語嫌いを増やしていないか、専門家でないから不安があります。情熱をもって、子どもを掌握できる専任の教員を配置してほしい」と話します。

市民団体の思い

 「荒川の英語教育を考える会」の会員は「担任の先生が英語を教えるなんて、まさかと思いました。公開授業では、3分の2の子どもが『机にしまいなさい』という先生の英語の指示がわからないでいました」と話します。

 小学校の近隣に英語塾ができ、「塾に行かないと子どもがわからなくなる」と通わせる保護者が増えました。

 同会では(1)英語教育の検証と保護者や教職員を含めた検討委員会の設置(2)専任教員の配置(3)少人数学級―を求めています。





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