2010年11月18日(木)「しんぶん赤旗」

支援機構が争議権放棄迫る

日航 客乗組合が抗議 “解雇撤回までたたかう”


 日本航空乗員組合と日航キャビンクルーユニオン(CCU)が日航の「整理解雇」撤回を求めていることに対し、日航の管財人である企業再生支援機構が出資をたてに支配介入する不当労働行為を行ったことが明らかになりました。CCUが17日、厚労省内の会見で告発しました。


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(写真)違法な整理解雇をやめさせてと宣伝する日本航空乗員組合と、キャビンクルーユニオンの組合員=17日、東京地方裁判所前

 日航乗組とCCUが「整理解雇」の撤回を求めて臨時大会で争議権確立を発議し、組合員全員投票を行っていることに対し、支援機構は16日、「争議権を降ろさなければ、出資しない」などと恫喝(どうかつ)しました。

 労働組合の争議権は、日本国憲法第28条で定められた正当な権利です。

 支援機構は、政府が資本金の半分を出資し、政府保証で事業資金を調達している組織です。

 内田妙子CCU委員長は「解雇が撤回されれば、争議権は中止すると言っている。それほど労働者の人生のかかった切実な問題だと理解してほしい」と訴えました。

 CCU顧問弁護団は、支援機構の行為は「組合員が自主的に判断し、決定すべき事柄に不当に介入したものである」と意見書を発表。両組合の加盟する航空労組連絡会(航空連)は、「整理解雇を押し付け、さらには脅しをかけて労働者からスト権を奪い去るきわめて異常な不当労働行為です」と声明を発表しました。

 CCUはまた、同日の会見で、客室乗務員の希望退職が会社の人員削減目標660人を73人上回る733人に達しており、「整理解雇」に道理がないことを明らかにしました。

 内田妙子委員長は、「日航は当初、客室乗務員570人を削減目標としてきたが、突然、660人に引き上げ、さらに『稼動ベース』の概念を持ち出してきた」と会社の対応の異常さを指摘しました。

 「稼動ベース」とは、休職中の人は「0人」、育児・介護中で部分就労の人は「0・5人」などと計算し、退職応募者数を実際より低く見積もるやり方。この「稼動ベース」をもとに、日航は客室乗務員90人を解雇するとしています。

 内田委員長は「客室乗務員には、安全のための重要任務がある。一人ひとりの人生と生活がかかっている。解雇に反対し、撤回まで会社と協議を続ける」と強調。解雇強行の場合は「裁判も検討する」と述べました。

 大阪の事業所閉鎖で成田に異動し、一時的に体調不良となって解雇対象となった女性(42)は、「家族を残して転勤した。辞めずに日航再生につくしたい」と訴えました。


整理解雇は暴挙 航空労組連が声明

 航空労組連絡会は17日、「日本航空の整理解雇という暴挙に断固抗議するとともに、全グループ社員の雇用と安全運航の確保に全力を上げてたたかう」とした声明を発表しました。

 声明は、これまでの希望退職募集ですでに人員削減目標が達成されているなどの事実をあげて、「整理解雇」を実施する必要性はないことを強調。「整理解雇」は安全運航の確保とスムーズな再建を困難にするだけだとのべて、いま求められていることは「現状の体制を有効活用し、労使がともに知恵を出し合い、安全運航を確保しつつ、経営・全グループ社員一体となって再建に取り組む体制を築くことである」と主張しています。





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