2010年11月11日(木)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 東ヨーロッパの小話を一つ。―ソ連とポーランドの間で新しい国境が決まった。なんと、一軒の農家の真ん中を通る線に▼さて、一家は身の振り方を選ばなくてはならない。ソ連国民になるか、ポーランド国民になるか。数日たち、農家の主が当局に出向いて届け出た。「やっぱりポーランド国籍にします。妻がいうには、ロシアの冬はとびきり寒いらしいので」▼旧ソ連の独裁者スターリンは、第2次大戦の時期、隣国ポーランドの一部地域やバルト3国を併合しました。小話は、覇権をふりかざし領土を広げたスターリン時代のソ連への風刺でしょう▼いま、当時のスターリンが残した領土をめぐる悪(あ)しき遺産は、だいたい清算されています。ラトビア、エストニア、リトアニアのバルト3国は、ソ連崩壊が迫る時に独立し、主権を取り戻しました。取り残されている場所が、日本の領土です▼ソ連が崩壊し19年。ロシアは、ソ連が終戦時に占領した千島列島、北海道の一部の歯舞、色丹を返そうとしません。バルト3国の独立のように、ソ連崩壊のころが返還への道筋をつける一つの好機だったのでしょう。スターリン以来の体制に、ロシアの人々の批判も盛んでした▼しかし、戦後のサンフランシスコ条約で千島を放棄してしまった日本政府は、“スターリンの誤りを正せ”と、ソ連・ロシアに筋道をたてて主張できずじまい。もちろん、いまからでも遅くありません。歴史の不正を改めてゆく、やりがいある仕事に時効はないのですから。





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