2010年11月5日(金)「しんぶん赤旗」

財政演説に対する

佐々木議員の質問(要旨)

衆院本会議


 日本共産党の佐々木憲昭衆院議員が4日の本会議でおこなった代表質問は次のとおりです。


 私は、日本共産党を代表し、財政演説について質問いたします。

 政権交代後、1年と2カ月が経過しました。国民の多くは、生活の苦難からなんとしても抜け出したい、これまでの政治を根本から変えたいと願ってきました。

 しかし、民主党政権は、その願いに応えたでしょうか。内政面でも外交面でも、失望と落胆の声が国民の中に大きく広がっているのであります。

 第一に、「生活第一」はどこに行ったのでしょうか。国民の暮らしに改善の兆しはありません。この1年間に離職した労働者は724万人にのぼっており、新たに採用された人を40万人も上回り、雇用者総数は減り続けています。大手企業ほど非正規労働者を真っ先に切り捨てております。

 そのため、民間平均給与は年に24万円も減少し、5世帯に1世帯が貯蓄ゼロ、生活が苦しくて自殺する人が年に8300人を超えています。

 その一方、大企業は、内部留保を200兆円をはるかに超える規模で積み上げているのであります。

 このような事態を招いたのは、民主党政権が財界・大企業を応援することには力を尽くすが、国民の暮らしを直接支援する有効な手だてを講じなかったからではないでしょうか。菅総理は、その責任をどう感じているのでしょうか。

 菅総理が推進する「新成長戦略」にも、今回の補正予算案にも、危機にひんした国民の生活と営業を救済する有効な手だてはほとんど見あたりません。

 第二に、「自立した外交」「対等な日米関係」はどこに行ったのでしょうか。

 米軍の普天間基地については、「最低でも県外」という公約を投げ捨て、結局は辺野古に米軍基地をつくるという最悪の選択をし、沖縄県民に押しつけようとしているのであります。県民の怒りは、頂点に達しております。

 日本農業に壊滅的な打撃を与えるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の推進を、10月の所信演説で菅総理は突如として打ち出しました。その発端は、昨年11月来日したアメリカのオバマ大統領の提案だといいます。

 菅内閣はこれに唯々諾々と従い、農民からごうごうたる非難と落胆の声が寄せられ、政権内部もバラバラであります。菅内閣は、それでも推進するというのでしょうか。

 第三に、「クリーンな政治」はどこに行ったのでしょうか。

 民主党は、小沢一郎氏の政治資金規正法違反事件で国民の厳しい批判をあび、「企業・団体献金の禁止」を公約に掲げ、公共事業を受注している企業からの献金を受けないと決めていたはずです。

 ところが最近になって、突然、受注額1億円未満の企業からの献金を受け取ることにしたのです。これは、明らかに逆行です。いったい国民にどう説明するのでしょうか。

 小沢氏について言えば、われわれは、証人喚問で4億円の原資等を説明するよう求めています。菅総理も「何らかの形で国会で説明することが必要」と答弁されました。総理自身は何を説明すべきだと考えているか、この場で明らかにしていただきたい。

 次に、経済政策の基本にかかわる問題についてです。

 内部留保の中核である利益剰余金と資本剰余金は、あわせて227兆円。10年間で73%も増えています。大企業は、投資先のない「空前のカネあまり」なのに国民のなかでは貧困化が進んでいます。

 大企業は、利益を株主配当や役員報酬にまわし、海外向けの投資を増やし、海外で利益をあげても国内には還流させておりません。国内産業・雇用・税の空洞化をいっそう進めております。総理は、これをどのように認識されていますか。

 いま、問われているのは、大企業にため込まれた巨大な内部留保を、国内の労働者、中小企業、社会に適切に還流させ、家計消費中心の内需拡大に切り替えることであります。そのためには何が必要か。

 第一に、大企業に応分の負担を求めることであります。法人税の減税など論外であります。

 下げ過ぎた法人税を少なくとも10年前に戻す、税率は累進課税にし、中小企業には負担をかけない。このようにして内部留保を国庫に還流させ、それを財源に社会保障・医療・介護を充実させることが必要です。

 こうしてこそ、所得の再分配機能を復活させることができるのであります。財務大臣の答弁を求めます。

 第二は、労働者を使い捨てる大企業の横暴を抑えることです。そのためにも、労働法制を抜本的に改正し、非正規雇用を正規雇用に切り替える。中小企業への支援を増やしながら最低賃金を(時給)1000円に引き上げることなどが必要です。

 第三は、大企業による下請け単価の不当な切り下げを許さず、適切な引き上げをおこなうよう指導し、下請け中小企業の経営を安定させることであります。

 3点について、明確な答弁を求めます。

 民主党政権の1年を振り返ると、内政・外交・政治姿勢のどれをとっても、自民党政権との基本的違いを見いだすのは不可能となりました。

 日本共産党は、財界・アメリカ言いなり政治から、国民が主人公となる政治への根本的な転換を求めてたたかいつづけることを表明し、質問を終わります。





■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp