2010年10月26日(火)「しんぶん赤旗」

参院憲法審査会

民主豹変 規程づくり浮上

反対していたのに自民と野合


 民主、自民両党が今国会で、参院憲法審査会の委員数や審議のルールなどを定めた規程の議決を狙っています。19日には両党の参院国対委員長が今国会中の議決を目指すことで合意。これを受け、審査会規程の議決を扱う参院議院運営委員会の21日の理事会では、両党の筆頭理事が、規程の内容について詰めの協議を進めることを確認しました。民主党は、野党時代に衆院での憲法審査会規程の議決に反対しており、その“豹変(ひょうへん)”ぶりが厳しく問われます。

 民主党は、自民党と共同で憲法審査会設置の根拠である改憲手続き法の制定を推進してきましたが、2007年に「任期中の改憲」を掲げた安倍内閣が自民党主導の動きに出たことに反発。自民、公明両党が衆院で憲法審査会規程の議決を強行(09年6月)したときも、「(自民・民主の)信頼関係をき損したことについて真摯(しんし)な自己批判が見られない」などとして「反対」していたのです。

 現在の動きの背景には、規程を定めて憲法審査会を始動させ、改憲論の巻き返しを狙う自民党や公明党、みんなの党などの圧力があります。一方、衆参“ねじれ”の状況のもと、自民党などの要求を受け入れることで補正予算案や法律案の審議に「協力」を取り付けたいという民主党・菅内閣の打算もあります。民主党の旧憲法調査会関係者の一人は、参院憲法審査会の規程議決をめぐる同党の歩み寄りについて、「自民党が国会運営に協力してくれるかもしれない、ということだ」と述べます。

 こうした野合が可能なのも、民主、自民の「二大政党」が、9条改憲の狙いを共有しているからにほかなりません。

 そもそも憲法審査会の設置は、改憲のための国民投票法の制定とセットでした。ところが、国民投票法の施行のために義務づけられていた、投票年齢や国民投票運動規制をめぐる法整備がまったく進まないまま、今年5月に同法の施行期日を迎えました。

 民主党政権は、なし崩しの「施行」を強行しましたが、同党元憲法調査会長代理を務めた簗瀬進前参院議員は当時、「法施行の重要な前提が欠如している以上、施行することができず事実上廃案とすべき法律である」と認めました。自民党も、施行期日である5月18日に開いた集会で「本格施行だが、残念ながら不完全施行」(中谷元・元防衛庁長官)と言わざるを得ませんでした。

 憲法審査会が始動できず、国民投票法の整備が進まなかったことは、改憲勢力が予想しなかった挫折であり、「9条守れ」の、草の根の国民の力の表れです。改憲原案の審査・発案のための憲法審査会を、何が何でも始動させようという民主、自民両党の野合は、いっそう深刻な矛盾を引き起こすものです。(中祖寅一)





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