2010年10月11日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

財政が厳しくとも 子育てを応援


 未来の主人公、子どもたちが健やかに育つ社会をどうつくるのか。日本共産党はいま、全国で奮闘しています。地方自治体のすすんだとりくみを、群馬県初の子育て条例を制定した南牧村(なんもくむら)と、町のホームページに「子育て応援のまち『日本一を目指して』」を掲げる愛知県東浦町(ひがしうらちょう)から、日本共産党議員が報告します。


給食費・保育料を免除

地図

群馬県南牧村

 「子育て支援が充実してうれしい」―。

 私たちの村、群馬県南牧村は今年4月、県内自治体で初めての子育て応援条例を施行しました。事業実施にともない、村が子育て世代を対象にアンケート調査をしたところ、回答者の7割を超える住民から期待と喜びの声が寄せられました。

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 南牧村は「昭和の大合併」で発足した1955年当時、人口は1万892人でした。それが、7月現在2618人、65歳以上の高齢化率56・5%(昨年)、15歳未満の年少人口4・0%(同)の状態です。合併は村の発展にはつながりませんでした。

 山々に囲まれた村の主な産業は農林業ですが、その多くは高齢者が支えています。若者の多くは、他産業に従事し、多くの農地が耕作放棄地となっています。

 「子育て世代の増加、地域活性化」を目的とした条例は、「保育料の免除」「小中学校給食費の免除」「高校入学支度金の交付」「高校通学費の補助金の交付」「15歳以下の子どもがいる世帯への転入奨励金の交付」を行い、子育て世帯への負担軽減を図るというものです。

 村の今年度当初予算は総額20億1千万円。子育て応援条例に関する予算は約840万円です。

 そのほかにも、「住宅の新改築費用への補助金の交付」「村営住宅の建設」「村営バス路線の増設(民間委託)」「子ども医療費の中学卒業時までの無料」など、党議員と住民が一緒に取り組んできた運動が議会の総意となりました。

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 村のアンケート調査には回答者から村政に厳しい注文も出ています。「親の負担軽減につながるが子どもを育てる環境作りにもっと力を入れて」「子育て世帯の増加、地域の活性化を目的とするならもっと住宅の新改築費用の補助金の増額を」「職場の確保や農業支援にもっと力を入れて」「子どもの減少が進む中、もっと教育の充実を」などの意見です。

 村では3月に新たな総合計画をつくりました。その中で、これからの村の重点課題を「若者の定住促進の充実」「高齢者でも暮らしやすい生活環境の整備充実」「産業振興の推進」などとしています。

 過疎化と少子高齢化が進む村で、私たち党支部と議員は、もっと住民負担の軽減をはかり、総合計画に盛り込まれた住民の声の具体的実現にむけ、住民と一緒に考え行動を起こしていくことを決意しているところです。(浅川芳喜・南牧村議)

親の就労問わず保育園に

愛知県東浦町

図

 愛知県東浦町は、「平成の大合併」で中核市をめざした3市1町の合併が破たんし、「自立」の市制施行をめざしています。

 井村徳光町長はそんな中で、「児童虐待やネグレクトなどの事件を憂い、子どもを産み育てる環境が悪くなっている。育児の学習が必要だ」として、町のホームページに見るような「子育て応援のまち“日本一”を目指して」を掲げたと語っています。

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 東浦町は名古屋市や刈谷市へ働きに出るベッドタウンです。1990年に4万人台になった人口が今、5万人を超え、10月の国勢調査で市の人口要件5万人に備えて「市制準備室」を立ち上げ、福祉事務所の設置、地名変更などの準備を進めています。

 「東浦町次世代育成行動計画」を策定し、子育ての第一義的な責任は保護者にあるが、地域社会全体が子どもに目をむけ、親が安心して子どもを産み育てられる環境づくりは公の責任と位置づけています。

 保育行政では、2008年度に保育体系を抜本的に改め、土曜・祝日保育を実施する園を指定。09年10月から2人目から保育料を無料化、私的契約児の保育料は2千円加算していたのを廃止して、実施児と同額にしました。

 保護者の就労の有無にかかわらず、3、4、5歳児はすべて保育園で受け入れ、就学前の集団“教育”と位置づけています。

 延長保育・一時保育をふくめ保育料全般の見直し、引き下げを行いました。これには、国の保育所運営費負担金が廃止となったことも動機といいます。

 党町議団(私、広瀬勇吉と山田真悟、平林良一の3人)は、お母さんを対象に「保育アンケート」を実施、「保育料が高くて預けられない」「預けられたら働きに出たい」の声や、施設改修の要望などが数多く寄せられました。これらを、「予算要望書」や一般質問で取り上げ、「保育のことなら共産党」と評されるまでになっています。

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 子どもの医療費は、中学生まで入院、通院とも今年1月から無料化しました。これも請願運動が実ったものです。

 手狭になった子育て支援センターを移設し、「総合子育て支援センター」が来年3月のオープンめざして建設中です。学童保育室、児童館、子育てボランティアルーム、育児教室、親子交流活動スペースをとるなど、厳しい財政事情ですが、子育て支援の拠点として優先したといいます。

 党町議団は、子どもの貧困解消の角度からも、就学援助制度の所得基準を拡充させ(夫婦2人に子ども1人の場合の所得基準額を従来の生活保護基準の1・2倍から1・5倍の314万円以下の人に拡充)、対象児童・生徒を08年度6・2%から09年度8・5%に適用を広げさせています。(広瀬勇吉・東浦町議)





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