2010年10月8日(金)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 歯の治療に使われる銀歯は、成分にパラジウムを含みます。1803年、イギリスの学者ウォラストンが発見した金属です▼前年みつかり話題になった、小惑星パラスにちなみ名づけられました。パラスは、ギリシャ神話にでてくる女神で都市アテネの守り神、といいます。名前のいわれはともかく、パラジウムは、世界に2万数千トンしかない貴金属です▼ノーベル化学賞を受けた鈴木章さんと根岸英一さんは、パラジウムの特性を生かしました。自然の生物にしか生み出せないはずの有機化学物質を、人の手でどうやって効率よくつくりだすか。難問でした▼パラジウムを仲立ち(触媒)に用い別々の二つの物質を結びつけ、新しい物質を生成する。2人が開発したやり方です。テレビの液晶づくりにも役立っているというのですから、化学の門外漢には、まるで魔法のようにみえます▼自然科学の世界と違い、人の社会に魔法なみの解決法はないのかもしれません。しかしその時々に、パラジウムのように外せない勘どころはあります。いまのわが国経済でなら、大企業がため込んだ244兆円という内部留保です。空前の金あまり。むだに遊ばさないよう、どうやって現実の経済に生かしてゆくか▼昨日の国会で、日本共産党の志位委員長が提案しました。「この巨額の資金を、投資や雇用など生きたお金として…還流」させ、家計を応援し内需の底上げを、と。化学者がパラジウムを使うように、効率よく経済の新しい活力を生み出す道です。





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