2010年10月2日(土)「しんぶん赤旗」
警察部隊 クーデター未遂
市民数万人抗議 大統領を解放
エクアドル
【メキシコ市=菅原啓】南米エクアドルで9月30日、一部警察・軍部隊がコレア大統領を一時軟禁状態に置くクーデター未遂事件が発生しました。米国追従や新自由主義を拒否したコレア氏の改革を支持する市民数万人が抗議デモを展開。コレア氏は同日夜、軍隊の突入作戦によって解放されました。
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同国の国会は、公務員の賞与が腐敗の原因になっているとして、廃止する新法を可決。警察部隊はそれに反発して、この日早朝から抗議行動を展開していました。
首都キト市内で反乱に加わった警官は約800人。キト国際空港は空軍の一部が反乱に呼応した動きをみせたため、一部閉鎖されました。
反乱部隊は、市内の警察署などを占拠。話し合いに向かったコレア氏に催涙ガスを浴びせ、治療のために訪れた警察病院内の一室に同氏を閉じ込めました。
コレア氏は、国営エクアドル・テレビを通じて、一部警察部隊の行為を「クーデターを意図したもの」と非難。「大統領を殺したいなら、私はここにいる。しかし、この大統領はやるべきことをやりつづける」と語り、反乱部隊との交渉には応じない立場を明らかにしていました。
コレア氏を支持する市民は警察病院を取り囲み、反乱警官らに解放を要求。大統領府前の独立広場では数千人の市民による抗議集会が開かれました。
現地からの報道によると、反乱警官とこれに抗議する市民との衝突のなかで、少なくとも1人が死亡、多くの市民に負傷者が出ました。
中南米各国は相次いでクーデター非難の声明を発表。国連、米州機構(OAS)、南米諸国連合(UNASUR)などの多国間機関もコレア氏への支持を発表しました。