2010年9月23日(木)「しんぶん赤旗」

主張

衆院比例定数削減

新内閣でも反対の手を緩めず


 現在の衆院の選挙制度で、唯一、民意を正確に議席に反映している比例代表選挙で、現在180の定数を一気に80も削減しようという策動が、民主党政権のもとでたくらまれ続けています。民主党代表選で再選され、先週末人事を終え、改造内閣を発足させた菅直人政権でも、外相から横滑りした岡田克也幹事長が「党の従来からの主張で、ぜひ実現したいと思う」と、実現の意欲を隠していません。

 比例定数削減は、国会から国民の民意を締め出すものです。新内閣でも反対の手を緩めず、断念に追い込むことが求められます。

根深い執念に油断は禁物

 民主党は、衆院の比例定数80削減を昨年の総選挙での「マニフェスト(政権公約)」に明記し、ことしの参院選でも、参院の定数40削減とともに衆院の定数80削減を公約に掲げました。参院選に当たって菅氏は、「参院選が終わったら法案を出したい」と発言し、参院選が終わったあとも、「8月中に党内の意見をまとめ、12月までには与野党の合意を図ってもらいたい」と発言しています。尋常ではないその執念は明らかです。

 実際には与野党の合意どころか、民主党内でさえ異論が出ています。菅氏も先の代表選では「年内に党の方針を取りまとめる」といいなおしています。岡田幹事長も、「拒否感を示す政党がある」と慎重な姿勢も示しています。しかしこれらはすべて国民の反対が強いからで、比例定数削減をねらっていることに変わりはありません。新内閣でも危険は変わりません。

 現在の衆院の選挙制度は、1選挙区から1人だけの議員を選ぶ小選挙区の定数が300で、全国11ブロックに分かれた比例代表の定数が180です。比例定数を80削減すれば、合計400の定数の4分の3を小選挙区で選ぶことになり、小選挙区で選ばれる議員の割合がいま以上に高くなります。

 小選挙区は相手より1票でも得票が多ければ当選できるので、大政党に圧倒的に有利で、多くの投票は議席に結びつかない「死に票」になります。国民の民意の議席への反映がゆがめられます。しかも昨年の総選挙の得票で試算すると、民主党は4割台の得票で7割もの議席を占めることになります。文字通り議席の「独占」です。いくら国民に消費税の増税や普天間基地の県内「移設」に批判があっても、そうした民意は議席に反映しません。まさに民意の締め出しです。

 それどころか、民主党が衆院で3分の2以上の議席を占めることになれば、参院で否決した法案も、衆院で3分の2以上で再議決されれば成立してしまいます。今回の参院選の結果、衆参の議席が「ねじれ」になっていますが、衆院の比例定数削減でそれも乗り越えられるわけです。まさに民主党の「独裁」が実現することになります。

選挙制度の抜本見直しを

 もともと国会は国権の最高機関として、主権者である国民が選挙した議員によって構成されることになっており、国民の民意を正確に議席の構成に反映する選挙制度こそ求められます。比例代表の定数を削減し、小選挙区の比重を高くするのはこうした選挙制度のあり方に根本的に反しています。

 比例定数削減を絶対に許さないとともに、民意が正しく議席に反映するよう選挙制度を抜本的に改める議論が不可欠です。





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