2010年9月17日(金)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 「医学の父」といわれる古代ギリシャのヒポクラテスは、人間は四つの体液からなる、と説きました。血液、粘液、胆汁、水です▼水をふくめず胆汁を黒と黄の2種類に分ける時もあった、といいます。彼は、どんな病気も粘液と胆汁のはたらきで起きる、と考えていたそうです。胆汁は肝臓がだす液で、脂肪を消化します▼当時、肝臓についてどれほど解き明かされていたのでしょう。ともかく古代から人間は、肝臓のはたらきをとても大事に考えていました。胆汁を出すほか、栄養素を採り入れ毒素や老廃物を分解する肝臓。生命維持に欠かせません▼1945年、イギリス保健省は、こんな警告を発しました。「肝炎の一部は、患者から患者へ注射器および注射針にうつる微量の血液により感染する」。「注射器肝炎」です。そして警告は日本で、取り返しのつかない現実となりました▼乳幼児への集団予防接種の、注射器使い回しです。最高裁は4年前、B型肝炎をめぐる裁判で、国の責任を認める当然の判決を下しました。予防接種は、国の事業ですから。被害者が国に救済を求める裁判を起こし、20年近くたっていました。B型肝炎の感染者は、140万人におよびます▼ところが政府は、解決をひきのばします。本当に予防接種を受けたのか、母子手帳で証明せよ。発症していないと救済しない…。“財源にもかかわるから”と長妻厚労相。しかし、「いつ発症するか」とおびえる人や生命の危機に直面する人を前に、「命より金」はないでしょう。





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