2010年9月17日(金)「しんぶん赤旗」

主張

オスプレイ配備

前提崩れた日米合意は撤回を


 米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの沖縄配備を隠ぺいしたまま、普天間基地の名護市辺野古への「移設」を押し付ける日本政府のやり方に、沖縄県民の間から怒りの声が噴き上げています。

 米海兵隊は2012年10月以降、オスプレイを普天間基地に配備する計画であり、米国防総省も沖縄配備を認めました。「移設」のため辺野古につくる新基地にオスプレイが配備されるのは明白です。オスプレイは岡田克也外相でさえ「騒音とか危険性も当然伴う」(14日)と認める危険な飛行機です。オスプレイ配備を県民に隠す政府のやり方は許されません。

早くから知っていたのに

 日本政府は、名護市辺野古につくる新基地を使って飛ぶ米軍機の飛行経路は陸上部から離れた海上の台形状の空域内だけと説明してきました。しかしこれはオスプレイの沖縄配備の事実を隠ぺいしたうえでのごまかしの説明にすぎませんでした。日米合意にもとづいて普天間基地の辺野古「移設」の詳細を検討した日米専門家協議を通じて明らかになりました。

 米政府は専門家協議で、飛行経路についての日本側の説明を「うそ」だとまで批判し、飛行経路の拡大を迫りました。オスプレイは固定翼機として離着陸する場合は大回りします。ヘリを想定した日本側の飛行経路ではオスプレイは飛行できず拡大が必要です。米側が飛行経路を変えるよう日本側に要求しているのはそのためです。

 米側は1996年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)での交渉でも、06年の日米合意作成交渉でもオスプレイの沖縄配備を日本政府に伝え、オスプレイにあわせた飛行経路を求めていました。それを知りながら国民に隠ぺいし、新基地を県民に押し付ける日本政府の責任は重大です。

 オスプレイはヘリより大型で、戦場に兵員や物資を運ぶ高速強襲輸送機です。沖縄配備は、沖縄基地の海外“殴り込み”機能をさらに強め、アジアと世界の平和を脅かすことにしかなりません。

 爆音でいっそう県民を苦しめることにもなります。オスプレイは離着陸時だけでなく、住宅地域を戦場に見立て飛行する訓練も行います。名護市民に爆音被害を与えるのは目に見えています。

 墜落が多発する欠陥機だということも重大です。91年以来何度も墜落し、パイロットや乗員が数多く死亡しています。事故は開発当初だけのようにいうのは事実に反します。2000年も今年4月も墜落事故を起こしています。05年と06年にはエンジンが火を噴きました。オスプレイが「未亡人製造機」と呼ばれているのはそのためです。こんな欠陥機が県民に受け入れられるはずはありません。

新基地計画を断念せよ

 8月31日公表された日米専門家協議の報告書は、オスプレイという文字さえ示さず、飛行経路の協議を「継続」するとのべているだけです。オスプレイの配備が明らかになった以上、オスプレイを前提としない防衛省の環境アセスメントのやり直しも必要です。それにも口を閉ざす政府のやり方に県民の不信と怒りが強まる一方です。

 普天間基地の辺野古「移設」反対は県民の変わらない総意です。県民の頭越しで決められた日米合意の白紙撤回をめざすたたかいをさらに強めることが重要です。





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