2010年9月11日(土)「しんぶん赤旗」

準天頂衛星「みちびき」

きょう打ち上げ

GPSを補完


 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の準天頂衛星「みちびき」が11日夜、鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケット18号機で打ち上げられます。

 みちびきは、カーナビや船舶の航法支援、測量などに使われているGPS(全地球測位システム)の補完や精度向上をめざす、準天頂衛星システムの初号機。日本のほぼ真上に衛星を配置し、米国が運用するGPSと組み合わせることで、山間部やビルの谷間など信号の受信条件が悪い場所での利用効率を上げ、測位精度を高めます。

 本体は縦横約3メートル×高さ約6メートル、太陽電池パドルを広げた長さは約25メートルで、重さは約4トン。高度3万2000〜4万キロメートルの楕円(だえん)軌道を、約24時間かけて1周します。地球の自転と同調しているため、その軌跡は日本からオーストラリアまでの上空に「8」の字を描き、1日のうち8時間ほど日本の上空にとどまります。

 準天頂衛星システムは、衛星を3機以上配置することで、日本から常時1機以上の衛星がほぼ真上に見えるようにするしくみです。

 GPSのみだと位置測定が可能な時間の割合は約90%ですが、みちびきの活用で99・8%に向上。また、現在は数メートル以上の誤差があるカーナビの精度が1メートル程度になります。精度10センチメートル級の津波検知システムの実現も可能だといいます。

 初号機では、次世代の信号技術の実験や、大学や企業も参加して利用のための実証実験を行います。2、3号機の配備について政府の方針は未確定です。


 GPS(全地球測位システム) 地球を周回する24機の衛星からの信号をもとに、現在位置を把握するためのシステム。測位には地上などの受信機から同時に4機以上の衛星が見えている必要があります。米国防総省が、予備機を含めた約30機のGPS衛星を運用しており、暗号化された軍用高精度信号とは別に、民生用の信号を発信しているため、全世界で利用できます。ロシア、中国、欧州などは独自の測位システムを開発・整備中です。





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp