2010年9月3日(金)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 オバマ米大統領は8月31日、2003年3月に米英連合軍の侵攻で始まったイラク戦争の「戦闘任務」が完了したと宣言しました。米軍戦闘旅団はすでに撤収を終え、残る5万人の米軍部隊はイラク治安部隊の訓練などにあたります▼「戦争」でなく「戦闘任務」の終結としたところがミソ。米国防総省のモレル報道官は「誰も戦争が終わったとは宣言していない」とメディアに語っています▼イラクの現状は、政治でも治安でも安定には程遠い。3月総選挙後の新政府が宗派対立もあっていまだに成立せず、米戦闘旅団撤退の前後にも、多くの死傷者を出す自爆テロや爆弾攻撃が相次いでいます▼侵攻以来7年半、イラク民間人の死者は10万人以上ともいわれています。一方、米軍側でも死亡兵士4400人超にのぼり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断される帰還兵も少なくありません。イラク侵攻はイラクにも米国にも「惨劇」をもたらしました▼ブッシュ前大統領が始めたイラク戦争は、国連安保理決議も経ない国際法違反の武力行使でした。米国を支持し派兵した国でも検証が進められ、オランダでは首相が設置した独立調査委員会が今年1月、「国際法上の合法性を欠く」との結論を出しています▼日本の小泉首相(当時)は無批判に米国に追随し自衛隊を派遣しましたが、民主党主導の政権に交代してからも検証作業は先送りに。イラクの現状を正面から見つめ、歴史の教訓を引き出すことが、いま求められています。





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