2010年8月6日(金)「しんぶん赤旗」

主張

広島・長崎65年

核なくす具体的行動起こす時


 1945年8月6日広島に、続いて9日長崎に、アメリカが原爆を投下してから65年になります。原爆は一瞬のうちに広島、長崎両市を焼き尽くし、20万人余の人命を奪い、65年たったいまも多くの被爆者を苦しめています。被爆の実相を伝え、被爆者を援護していくことは、いまも重要です。

 被爆者が切望する核兵器廃絶への流れは、ことし5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議を経ていよいよ大きくなっています。国際情勢の新たな好機を生かして核兵器廃絶に力をつくすことこそ、被爆国日本の責務であり、被爆者の願いに応えるものです。

核廃絶条約の交渉を

 5月のNPT再検討会議では、一部の核兵器保有国の抵抗があったものの「核兵器のない世界の平和と安全を達成」することを一致して「決意」し、核兵器国が「自国の核兵器の完全廃絶」を実行すべきことを確認しました。国際情勢は、大きく変わりつつあります。

 被爆者を先頭にした核兵器廃絶運動が核兵器国を追い込んでいるのは明らかです。被爆65年を前に開かれた原水爆禁止世界大会の国際会議には、国連や各国政府、反核平和運動などから27カ国の代表が参加しました。潘基文(パンギムン)国連事務総長は世界大会に寄せたメッセージで、「皆さんの努力が世界的な核兵器廃絶支持の大きな流れをつくった」とのべています。

 国際会議で採択された宣言は、「『核兵器のない世界』が国際政治の明確な目標となったいま、つぎに求められるのは、その実現のための具体的行動」だとのべています。核兵器全面禁止のために、核兵器国と日本を含むすべての国の政府に核兵器廃絶条約の交渉開始を要求するのは当然です。

 国連事務総長が被爆地を訪れ、広島の記念式典に参加するのは初めてです。広島の式典には、ルース駐日米大使も参加します。被爆65年の平和記念式典が、核廃絶に向けた新たなメッセージの発信の機会になるのは確かです。

 広島、長崎に投下された原爆のため、多くの被爆者は65年たったいまも、がんをはじめさまざまな病気を発症し、死の恐怖におびえながらの生活を余儀なくされています。こうした悲劇をこれ以上続けさせ、繰り返してはなりません。

 原爆症認定訴訟のたたかいによって、昨年政府は日本原水爆被害者団体協議会との間で、定期協議を通じて「解決を図る」との訴訟解決のための確認書をかわしました。しかし、いまだ政府が原爆症と認定しているのは被爆者のほんのわずかで、大量の申請却下も続いています。政府の対応が問われています。被爆者は高齢化しています。65年の節目に立って、政府は確認書を誠実に実行し、十分な救済策を講じるために尽力すべきです。

「核抑止力」論と決別を

 被爆者援護に積極的な姿勢を示していないだけでなく、民主党政権が、核廃絶への新たな好機が生まれているなかでそのための具体的な外交努力もしようとしていないのは重大問題です。米軍の核兵器を日本に持ち込ませる「日米核密約」の廃棄要求にも応じません。アメリカの「核抑止力」の維持を基本にしているからです。

 被爆国日本の役割はいよいよ重要です。名実ともに「非核の日本」をつくることこそ、核兵器廃絶の流れを加速する力になります。





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