2010年8月5日(木)「しんぶん赤旗」

主張

消費税“談合”

庶民増税頼みに展望はない


 菅直人政権が発足して初めての予算委員会が開かれています。

 質疑では、消費税や普天間基地問題など国政の焦点で、民主党政権と自公政権の違いがますます薄くなってきたことが浮き彫りになっています。

 谷垣禎一・自民党総裁の衆院予算委での質問では、自民党と民主党政権が消費税増税で“連合”する段取りの“談合”のようなやりとりになりました。

世論そっちのけで

 「これ(参院選)で懲りてしまい、(消費税増税が)取り上げられなくなったら不幸だ」と谷垣氏が助け舟を出すと、首相は「一歩も引くつもりはない」―。谷垣氏が自民党提案の消費税増税を含む「財政健全化責任法案」を審議し、互いの政策協議の場をつくろうともちかけると、首相は「前向きに検討する」と答えました。

 昨年の総選挙で国民は自公政権に退場を宣告しました。大企業・大資産家に減税を続ける一方で、庶民には増税と社会保障の負担増・給付減という自公政権の逆立ちした政治に対する怒りが込められた審判でした。さらに今回の参院選では「消費税10%」を宣言した菅民主党政権に厳しい審判が下っています。同時に、国民が自民党政権の復活を願っているのではないことも、選挙結果や世論調査で明らかです。

 大企業減税とあわせて消費税の大幅増税を掲げている二大政党が世論そっちのけで“談合”し、逆立ちした税制「改革」を強行することを許すわけにはいきません。

 谷垣氏は消費税を「社会保障目的税に」とのべ、首相は「消費税について議論する場合には、社会保障との関連で議論をしていく」と答えました。これは大きなごまかしです。

 国民は消費税の使い道について、ぬぐえない疑問を持っています。それは、消費税の導入のときも増税のときも、いつも政府は国民に「社会保障の財源のため」と説明してきたのに、社会保障は負担増と給付減の連続だったからです。実際に、消費税の税収のほとんどは法人税の減収の穴埋めに消えていきました。1989年の導入以来の消費税収の累計は224兆円に上りますが、同じ時期に法人税(地方税を含む)は208兆円もの減収になっています。

 消費税増税を「社会保障目的」とうたって形の上で社会保障に使っているように装っても、浮いたお金を大企業減税の穴埋めに回せば社会保障の財源は増えません。全体のお金の出入りを見れば、「社会保障目的」ではなく「大企業減税目的」にほかなりません。

健全な経済循環に

 日本経済は、国民の所得と消費を立て直し、ものづくりや小売業・サービス業など産業の元気を取り戻す健全な経済循環を回復する課題に直面しています。それを回復してこそ、税収を増やして財政危機を打開する道も開けます。

 家計に大打撃を与える消費税増税に頼った二大政党の方針は、この課題を打ち砕く道です。

 人間らしい雇用のルール、大企業と中小企業の公正な取引のルールをつくるなど「ルールある経済社会」への転換で健全な経済循環を回復すると同時に、聖域扱いの軍事費、大企業・大資産家への行き過ぎた減税にメスを入れる財政の改革が切実に求められます。





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