2010年7月19日(月)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 夏の雨の夜など、わがぼろ家によくお客さんがきます。雨宿りを頼みにくるわけではありません▼ガラス窓の外側にぴたっと張り付き、白いおなかを室内に向けています。トカゲの仲間ニホンヤモリです。5本指の前足が、ヒトの赤ちゃんの手のようで、かわいい。薄気味悪く感じる人もいるようですが▼人家の明かりを利用し、えさの虫を捕らえます。昔から、害虫を食べて家を守るありがたい動物だというので、「家守」とも書き表されています。ところが最近、東京都は、都内の区部で絶滅のおそれがある生き物に指定しました▼ヤモリの住まいの古い人家が減ったから、といいます。かわいそうな話を聞くと、夜の訪問者というより一家の大事な一員と思えてきます。郊外のわが家はどうせぼろ家ですから、いつまでもいてほしい。しかし、郊外の生き物だって安心とはいきません▼たとえば、「高尾山の自然をまもる市民の会」会報7月号に、「会」の奥田さが子さんが書いています。八王子市の高尾山でみられる野鳥は20年の間に20種も姿を消した―。約150種から約130種へ。「日本一小さい国定公園の中に日本一多様な生態系を持つ山」(奥田さん)、高尾山。政府はいま、生態系を壊すトンネル工事をすすめます▼かりに現在の勢いで生き物が絶滅し続けるなら、1000年後に地球の生物がほとんど全滅する、という説もきかれます。人類はいま、「百年の計」どころか「千年の計」が求められる時を生きているのでしょう。





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