2010年7月19日(月)「しんぶん赤旗」

息子奪った会社

過労死 遺族が交流会

過酷な勤務に会話も減り、みずから命を…

異常な日本 規制する法律実現よびかけ


 京都市内で開かれていた過労死学習交流会(大阪過労死を考える家族の会主催)は18日、分科会、全体会を終え、閉会しました。過労死、過労自殺によってわが子を失った父母の悲痛な思いとともに、こうしたことは誰にでも起こりうる問題だということを、社会全体に広げていきたいという声が聞かれました。


 兵庫県の60代の父親は、20代の息子を過労自殺で亡くしました。清涼飲料水の配送業に従事していた息子は、早朝から深夜の過酷な業務でやせていき、親子の会話をかわす時間もなくなっていったといいます。

 父親は「会社は、若い子の血を吸う吸血鬼みたいな連中です。息子は寄ってたかって殺された」と怒ります。「労災は認められましたが、息子は生きては帰ってきません。会社に謝罪を求めたい」と語気を強めます。

 東京都の70代の母親は、マスコミ業界で働く40代の息子を、就寝中に急性心不全で失いました。職場の人員が半減されて夜勤回数が増加し、髪質はボサボサになり、色白だった顔が赤らんでいたといいます。

 母親は「そばにいながら死なせてしまった、最低の母親だという自責の思いが強い。今回、初参加して、経験者でないと分からないつらさを分かってもらえて、心を開くことができました」と話しました。

 この母親は、図書館で借りた本がきっかけで「会」を知って連絡をとり、現在、労災審査請求中です。息子のネームプレートを手に「好きだから、つい働きすぎるということも見すごさないで、過労死を防止する策を講じてほしい。私の心の声です。『会』のリーフを区民センターに置かせてもらったり、知人に渡して注意を呼びかけているんです」と語りました。

 20代の息子を亡くした別の母親は「息子の世代は就職氷河期にやっと手に職を持てたという気持ちから、無理をして仕事にしがみつかないといけない。ギリギリのところで誰もが生活しています。でも、人がいてこそ企業も社会も成り立つわけで、優秀な人材が倒れていく今の日本社会は本当に異常で悪循環としかいいようがない」と告発します。

 「おなかを痛めて産んだわが子が消耗品にされた者としたら、いてもたってもいられません。人間として生活できるよう最低限の保障が社会に必要だし、大きな社会問題だと思っています」と訴えました。

 大阪の会顧問の岩城穣弁護士は「過労死が特殊なのではなく、規制する法律のない日本が特殊です。法律の実現へつながりを生かして行動していこう」と呼びかけました。

 全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表は、閉会あいさつで「過労死防止、過重労働対策に向けて、私たちがたたかう・怒っている遺族ということを国に示していきたい」と決意を示しました。





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