2010年7月17日(土)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 心なしか、鉢植えの花がうなだれているようだ。あわてて水やりに外へ出ると、肌を焼く真夏の日差しのまぶしいこと▼しかし、“梅雨明け間近”と喜ぶ気分は起こりません。まとわりついてきた湿気からの解放を歓迎するのもはばかられるような、痛ましい雨の被害。梅雨前線が、西日本や東海を荒らし回りました▼目の前でお母さんが、「娘をお願いします」と助っ人に言い残し車に乗ったまま濁流にのまれてしまった、岐阜県可児市の10代女性。彼女の心に、太陽はいつ戻ってくるでしょう。裏山から落ちてきた巨石に襲われ息絶えた、島根県松江市の小学2年の男の子とお母さん。2人は、光に満ちた世界をもうみられません▼よく「ゲリラ豪雨」といわれます。しかし、「通り魔豪雨」ともよびたい気がします。九州から北日本へ、梅雨前線が行く先々で国土を傷つけ人の命を奪いました。雨の通り魔の、行く手は阻めません▼危険度をへらす備えはできます。しかし、地球の温暖化と軌を一にするように局地の豪雨がふえる一方、「災害予防」や「国土保全」の予算は落ち込んでいます。国の一般会計の8%ほどを占めていた防災関係の予算が、本年度は1%台に。温暖化に立ち向かう21世紀日本の、目をそらしてはならない政治の現実です▼古くから洋の東西を問わず、治水に力をつくした権力者は歴史に名を残してきました。いまも、事情は変わらないはずです。気象庁によれば、ようやくきょうは晴れるところが多いそうですが…。





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