2010年7月16日(金)「しんぶん赤旗」

政権支持率が低下

独緊縮政策に国民反発


 ドイツのメルケル政権が苦境に立たされています。6月上旬に発表した財政緊縮政策には国民と労組が強く反発。与党内の亀裂も表面化したうえ、連邦参議院(上院)では与党が過半数割れに追い込まれました。そうしたなかで同政権への支持率も下がる一方です。(片岡正明)


 財政緊縮政策は今後4年間で800億ユーロ(約8兆9600億円)を削減する計画。連邦公務員を1万5000人削減するほか、社会保障・失業対策分野では、育児休暇をとる親に支給する親手当の削減などが盛り込まれています。

 公的医療では、収入水準にかかわらず一律定額の保険料を課す方式への移行を開始。保険料の支払いが重くなった市民から不満が出ています。

 独最大の産別労組、統一サービス産業労組(218万人)のブジルスケ委員長は「政府は一方的に社会の弱者にしわよせしようとしている」と批判。連邦公務員労組のヘーセン委員長も「公務員削減は(国民にとって)取り返しのつかない結果をもたらす」と警告しています。

 最大野党の社会民主党や左翼党は緊縮政策に「社会的平和を壊すものだ」といっせいに反発。野党間で連携する動きも出ています。

 一方、政権与党の求心力も失われています。2日に実施されたドイツ大統領選で、与党のキリスト教民主・社会同盟と自由民主党が推す与党候補のウルフ氏がかろうじて選出されたものの、与党内から数十人の造反が出て、与党内部の亀裂が表面化しました。

 14日には、野党の社会民主党と90年連合・緑の党が、ドイツ最大の州ノルトラインウェストファーレン州で連立政府を樹立。その結果、州政府代表で構成される連邦参議院でメルケル与党は過半数割れとなり、政権運営はますます厳しさを増しています。

 公共第一テレビの2日の世論調査では、「政府は長くは持たない」と考える人が62%に上りました。別の世論調査でも首相への満足度が40%と2カ月で20ポイント近く急落しました。





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