2010年7月14日(水)「しんぶん赤旗」
戦没者の妻特別給付金
受給もれに救済措置を
地方議会で広がる意見書
国が通知しなかったため多数の遺族が「戦没者の妻特別給付金」を受給できないまま時効扱いされている問題で、時効撤廃と救済措置を求める意見書の可決が地方議会で広がりつつあります。
大阪平和遺族会によると、意見書を可決したのは大阪府の大阪、吹田、箕面の各市議会。可決の動きをみせる議会はほかにも多いといいます。
資格がありながら時効のため受給できていないのは累計9万7259人で、金額にして962億円。各議会の意見書はこれを「国による実務の不備」のためであり、「夫を戦争で失った妻の痛苦を慰謝(いしゃ)する」という法の趣旨に反すると指摘。特別給付金法の時効条項撤廃のための立法措置や救済を国と国会に求めています。
戦没者の妻を対象に10年ごとに給付する制度は1963年に開始。しかし広報や実務を日本遺族会に依存する窓口一本化の遺族行政の下で、当初から「落ちこぼれ」が見込まれていました。しかも国は、前回受給者にしか通知せず、転居者にも通知しなかったため多くの失効者を生み出しました。
大阪では2人の戦没者の妻が国と自治体に賠償を求めて提訴。裁判は今月末に結審するとみられています。
裁判を支援し、公正な遺族行政を求めている大阪平和遺族会の前川俊幸事務局長は「戦没者の妻の平均年齢は92歳。国は妻たちが亡くなるのを待つのでなく是正措置を急ぐべきだ」と指摘。「裁判支援の署名は1万1000人。さらに運動を広げ、すべての戦争犠牲者への謝罪と補償を求めていきたい」と言います。
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