2010年7月14日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 わが編集局の中で、突然、地鳴りのような響き。びっくりして音のする方を見やり、合点がいきました▼南アフリカの民族楽器、ブブゼラです。サッカーワールドカップを取材してきた記者のお土産でした。それにしても、音が大きい。数万本が吹き鳴らされる競技場は、いったいどんな音のるつぼやら▼スポーツは人々の心を一つにする、といいます。ブブゼラは、応援する人の一体感を促すだけではないようです。選手たちも、互いのかけ声がかき消される芝生の上で、合図やあうんの呼吸で一つにまとまらなくてはなりません▼タコのパウルも、語り草になるでしょう。ドイツ西部の町、オーバーハウゼンの水族館にすむパウル。ワールドカップの8試合の勝敗予想を、ことごとく的中させました。えさの入った二つの器に対戦チームの国旗をつける。さあ、パウル君はどっちを選ぶ?▼「なにか仕かけがあるのだろう」「パウルは赤の色が好きらしい」…。周りはかまびすしい。もともとタコの知能は高い、といいます。パウル君の頭脳はうかがいしれませんが、タコは色合いや明るさの違いを見分けるそうです。さまざまな色の国旗がはためき、肌の色の違う人種が集ったワールドカップ大会でした▼しかしサッカーは、一つの国・民族にとどまらず、一つの大陸、さらに世界中の人々の心を一つにします。競技場の熱狂は去りました。人種隔離政策を終わらせ、和解の道を歩む国で開かれた大会。その重みを、今あらためて受けとめます。





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