2010年6月26日(土)「しんぶん赤旗」
南ア発 ゴール
日本、決勝T進出 W杯
新たな歴史つくるとき
確かな一歩となる勝利を手にした日本の選手たち。終了のホイッスルとともに、ピッチには、固いきずなを示す歓喜の輪ができた。
開始早々からデンマークの猛攻に苦しんだ。両サイドバックを高い位置に上げられ、中盤もトマソンがフリーでボールを受けるなど、ピンチが続いていた。
その流れを変えたのが二つのフリーキック(FK)だった。前半17分の本田は無回転ボールで、30分には遠藤がカーブをかけたボールで。2人のキッカーが、それぞれの持ち味を生かして決める。今大会では公式球の扱いに苦しみ、FKが直接ゴールする場面が少ないなかで、1試合で2人が決めたことは世界にも誇っていい技術だ。
苦しんだ守りもその後は安定した。序盤の猛攻をシステムの変更で対応し、後半からデンマークが4人の選手を前線にはりつけ、クロスを放り込んできても、あわてず、しっかり競って、こぼれ球も拾っていた。
W杯前まで日本は守備の安定に苦しんでいた。しかし、中盤の構成を変え、底に阿部をすえ、両脇に遠藤、長谷部を配することで適度なバランスを手にした。
同時に見逃せないのは日本がフェアにたたかっていること。イエローカード3枚は、3試合消化のチームで最少。ファウルの少なさも光る。技術と連係で相手の攻撃を止めている証拠だ。
ボールを奪った後、いかに効果的に攻撃につなぐかなど、まだまだ課題はある。それらを克服して、世界のトップにどう挑むのか。
「終着点はここじゃない」。そう語る岡田監督と選手たちが、新たな歴史をつくるスタート台に、ついに立った。(ルステンブルクで和泉民郎)