2010年6月26日(土)「しんぶん赤旗」
北九州市
生存権裁判で上告
原告との面会拒み 国が促す
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国による生活保護の老齢加算の廃止、減額に伴う北九州市の決定に対し、住民が決定の取り消しと同加算の復活を求めた福岡生存権裁判で、同市は25日、決定を取り消した福岡高裁判決について国と協議した結果、「上級審の判断を仰ぐ必要がある」として、最高裁に上告しました。
福岡高裁は14日、同加算廃止は「国の裁量権の逸脱、乱用」であり、正当な理由がない保護基準の不利益変更に当たると判断。請求を棄却した一審判決を取り消し、北九州市の決定を違法と認定しました。全国各地でたたかわれている同種の生存権裁判で初めて住民側の訴えを認めました。
この問題で、生存権裁判を支援する全国連絡会は25日、厚生労働省内で記者会見し、「長妻昭厚労相は原告らに面会もせずに(北九州市に)上告させたことを心外に思う」(朝日健二副会長)と強く抗議しました。
住江憲勇副会長は「貧困と格差が広がる中、最低生活の底上げをすることこそが求められている。そのようなときに、上告させたことに断固抗議する」と述べました。
会見後、同連絡会は、厚労省に抗議の申し入れをしました。
“厚労相意見”許せない
原告がコメント
14日、原告勝訴の高裁判決が出た福岡生存権裁判で、被告の北九州市は25日、長妻昭厚生労働相のアドバイスを受けて最高裁に上告しました。原告が本紙に怒りのコメントを寄せました。
平山フサ子さん(77)は「長妻大臣は、年寄りのことをぜんぜん考えていない。『早く死ね』っていうことでしょう」と悔しそうに話しました。
23日、どしゃぶりの雨の中、高裁判決の確定を求めて厚生労働省の前で宣伝をしました。「雨でびっしょりぬれてね。夜、足が冷えてつってしまい、寝られなかったんですよ」と平山さん。「早く年寄りいじめのない政治にしたいね」と述べました。
「野党のとき、長妻さんは『母子加算復活を突破口に、老齢加算の廃止も撤回させたい』と良いことを言っていたのに」と強い口調で話したのは今村サヱ子さん(81)。「与党になったらコロっと態度が変わった。民主党も信じられない。信じられるのは、共産党だけ。(参院選では)一貫して、私たち貧乏人の願いを聞いてくれる共産党が伸びてほしい」