2010年6月9日(水)「しんぶん赤旗」

業者と一体で保護費搾取

生活保護行政是正申し入れ

弁護士ら


 「生活保護受給者が不当に保護費を搾取される事態に、福祉事務所が業者と一体となって加担した」。生活保護問題対策全国会議(代表幹事・尾藤廣喜弁護士)の弁護士らは8日、厚生労働省内で記者会見し、愛知県岡崎市の不当な生活保護行政の事例を示し、その是正を長妻昭厚労相に申し入れたことを明らかにしました。

 弁護士らによると、人材派遣会社「杉浦工業」(本店・岡崎市)が昨年7月末から、自社の従業員寮「第2協栄荘」の空き部屋を「無料低額宿泊所」として運営。同市の福祉事務所が生活保護申請者にこの寮への入所をあっせんしていました。業者は同市と協議して保護費から月9万2000円を徴収し、生活保護受給者には2万円弱しか残らない「不当な搾取」をしていました。入所者の食事は「米飯にインスタントみそ汁と生卵をつけた極めて粗末なもの」。部屋も「わずか3畳半程度の水回りのない劣悪な物件」でした。

 同市は、入所者がこの寮の運営を告発する意見書を同市に提出した際も、告発者の実名や個人情報が入ったまま、その意見書を業者側に通知。市独自の調査をすることもなく、業者側の回答を引用して同市の見解とするなど、業者と行政が「一体化(癒着)」しています。また、同市は入所者の別の賃貸住宅への転居をいっさい認めず、弁護士らの援助で一般住宅に転居した入所者について、6カ月の生活保護停止処分という「報復措置」まで講じました。

 弁護士らは「厚労省が岡崎市への『特別監査』を実施し、こうした問題が起こった背景事情を明らかにした上で、適切な指導をおこなうことが必要不可欠だ。全国的に類似のケースが二度と起きないよう指導を強化する端緒にしてほしい」と訴えました。





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