2010年5月22日(土)「しんぶん赤旗」

哨戒艦沈没

安保理視野に連携

韓国、各国呼びかけへ


 韓国軍の哨戒艦沈没事件で「北朝鮮の魚雷攻撃」だとする調査結果が発表されたことを受けて、米韓両国は国連安全保障理事会での協議も視野に国際的な連携を追求する姿勢を強めています。これに対し、北朝鮮は「戦争局面とみなす」と警告。各国の対応に注目が集まっています。


 韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は21日、哨戒艦沈没事件の調査結果の発表を受け、国家安全保障会議を緊急招集し、外交、安保関係の閣僚と対応を協議しました。韓国政府は、国連安全保障理事会に問題を提起し、各国に北朝鮮への圧力の強化を呼びかける方針です。

 李大統領は、会議の冒頭、事件について、「軍事的挑発行為であり、国連憲章と(朝鮮戦争の)休戦協定、南北基本合意書にも違反する」と表明。北朝鮮を強く非難する一方、対応措置については、「深刻で重大な事案なだけに、いささかの誤りもあってはならず、慎重にすべきだ」と語りました。

 青瓦台(大統領府)によると、会議では、国際協調の強化やサイバーテロを含む北朝鮮の脅威への対応、軍の態勢などについて集中的に討議。李大統領は政府の対応について、「本日の論議をもとに、国民と国際社会に対する談話を発表する」と述べました。「談話」は、24日にも発表される見通し。

 現地メディアによると、金泰栄(キム・テヨン)国防相は21日、「(北朝鮮は)応分の対価を支払うことになる」と発言。その内容について、国連安保理への問題提起や国際的な制裁ができるように各国と協調すると説明しました。

 韓国側は国連軍司令部の調査チームに対して、北朝鮮が休戦協定に違反したかどうかの調査を依頼。違反が明白になれば、休戦協定の履行状況を監視するための軍事停戦委員会(国連、中国、北朝鮮で構成)で正式に取り上げるとしています。

 韓国政府は同日、物証を確認するための調査団を派遣するという北朝鮮側の提案を拒否しました。(中村圭吾)


 朝鮮戦争休戦協定 1950年6月25日、北朝鮮による韓国への全面攻撃で朝鮮戦争が開始。同月には韓国を支援する米軍主体の国連軍が、11月には北朝鮮を支援する中国が参戦。53年7月27日に国連軍、北朝鮮、中国の間で休戦協定が発効。平和協定は締結されておらず、国際法上は現在も戦争状態にあります。





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