2010年5月21日(金)「しんぶん赤旗」

契約社員の派遣化推進

NTT労組、会社を代弁

「拒む者にボーナス出さぬ」

札幌


 NTT東日本―北海道(本社・札幌市)が契約社員700人を派遣会社に転籍させた問題で、連合加盟のNTT労働組合は会社の方針を代弁する役割を果たしました。「私たちを守ってくれなかった」と労働者が批判の声をあげています。


“労働組合のやることか”

写真

(写真)札幌市内にあるNTTのビル

 「これって労働組合がやること?」。転籍させられた契約社員たちが疑問に感じたのは、3月9、10の両日のこと。札幌市のある職場で、NTT労組が彼らを社内メールで呼び集め、勤務時間終了後に説明会を開きました。

 説明した内容は、契約社員の30代女性が全労連加盟の通信産業労組に加入して、いったん会社に提出した転籍「同意」を撤回し、契約社員として雇用継続されたことについてでした。

まるで脅し

 NTT労組の役員はこう話したといいます。「みなさんは派遣社員に移ってもらったのに、その人だけ会社に残って更新されているのは、おもしろくないでしょう」「その人について、夏と冬のボーナスは出しません」「来年は更新しません」「4月以降はみんなと同じ仕事はさせず、別作業をやってもらいます」

 説明を聞いたひとりは、「これは脅しですよ。労働者を守るどころか、『お前たちは声をあげるな。おとなしくしておけ』という意味だと思いました」。

 会社が発表したことのない女性の待遇について、組合がなぜ「代弁」できるのか。組合が労働者を守るのではなく、差別や嫌がらせに動く。これでは企業の利潤追求の補完物。労働組合のやることではありません。

 この事実を知った通信労組と女性は3月11日、会社を相手取って雇い止め中止の仮処分を申し立てていた札幌地裁の審尋に、NTT労組の言動について会社に説明を求める求釈明申立書を追加提出しました。

 労組が会社と打ち合わせて「代弁」していたとしたら、女性の雇用や人権が守られない大問題だからです。

会社は否定

 審尋後、NTT労組は予定していた契約社員への説明会を急に中止しました。4月13日の第2回審尋で、会社側弁護士は、「債務者(会社)が関与した事実は一切ありません」と回答しました。

 また女性組合員の待遇について「他の社員といささかも異なることはなく」「いじめ、嫌がらせ等の差別的取扱いを行うことはありません」と約束しました。

 契約社員をNTTグループの派遣会社に転籍する問題では、NTT労組は一貫して、会社に同調してきました。

 同労組北海道総支部が発行したニュースで、「(派遣会社の)テレマートへ雇用替えすることについて同意・実施してきました」(「NTT労組北海道」3月17日付号外)と述べています。

民主と癒着

 NTT労組は、会社が転籍問題を発表する数カ月前から契約社員に労組加入を呼びかけはじめたといいます。「組合に入れば守ってもらえる」と喜んで加入した労働者たちから、同労組が転籍に同意したことに失望が広がっています。

 30代女性は「NTT労組に、『この転籍は違法ではないか』と何度も相談しました。しかし、組合に『問題ない』と押し切られ、がっかりしました」と話します。

 NTTグループはこの間、正社員の11万人リストラを強行し、契約社員をさらに不安定な派遣社員に転籍させ、2009年3月期の連結決算で、トヨタ自動車に次ぐ9兆6千億円もの内部留保をため込んでいます。

 一体となってこれを支えるNTT労組は一方で、民主党と癒着(ゆちゃく)し、「脱法的」な政治献金をしていることが報じられています。

 労働組合の「特定政党支持」「労資協調主義」という二つの害悪が労働者の批判の的になっています。





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