2010年5月10日(月)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 大分県生まれの知人は子どものころ、お父さんにしょっちゅう民話を聞かされて育ちました。話の主人公は、たいてい吉四六(きっちょむ)さん▼寝る前の子守歌がわりに、茶のみ話に。知人がなつかしがります。「とんち話が多かった。吉四六さんは地域の人の中にとけこんでいたなぁ」。教科書にも載った吉四六さんは、大分ばかりか日本の民話を代表する人物です▼吉四六さんは実際にいた、ともいわれます。江戸時代にいまの臼杵(うすき)市野津町の庄屋だった、初代・廣田(ひろた)吉右衛門です。200は下らない吉四六話の一つを、「NO消費税」(消費税をなくす全国の会)5月号が紹介しています▼異常気象で、コメも百姓が食べるアワ・ヒエもとれない。吉四六さんは、お城の殿様をいきなりびっくりさせます。「殿様あ来年死なねばなれやんすまい」。さらに、“殿様はなにを食べて生きている”と吉四六さん。殿様“魚やコメだ”。吉四六“魚やコメは誰がとったり作ったりする”。殿様“百姓や漁師だ”▼そこで、「殿様へ上ぐる年貢米は殿様自身で作りやんすか。作り手がなくなりゃ、殿様も死なざなりやんすめえがな」と吉四六さん。殿様も降参します。「わかった、わかった、年貢をまけてくれというのじゃろ、よしよし…」▼理詰めの吉四六さんも、なかなか痛快です。社会を支える働き手が暮らしに困っているのに、消費税を増税する話がもちあがっている昨今。臼杵市と隣の津久見市にも2年前、「消費税をなくす臼津(きゅうしん)の会」ができました。





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