2010年5月9日(日)「しんぶん赤旗」

隔離のつらさ 風化させるな

ハンセン病市民学会が総会


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(写真)全国から900人が参加したハンセン病市民学会=8日、岡山市

 ハンセン病回復者の社会復帰と市民との交流などにとりくむハンセン病市民学会は8日、「島は語る〜隔離の象徴としての“島”を再認識し、心の橋を架ける」をテーマにかかげて、第6回総会・交流集会を岡山市で開きました。

 全国から約900人が参加。岡山県瀬戸内市の長島愛生園、邑久光明園、高松市の大島青松園の三つのハンセン病療養所での隔離の歴史を振り返りながら、1960年代から病気が治っても国の誤った強制隔離政策で過酷な人権侵害を受けて社会復帰できなかった元患者と家族、市民が交流を深めました。

 主催者あいさつした牧野正直・ハンセン病市民学会共同代表(瀬戸内集会実行委員長)は「患者にとって隔離されることがいかにつらいことか。これを風化させてはならない」とあいさつ。岡山・香川両県の青年ら約300人のボランティアがかかわっていることを紹介し、関係者に感謝を表明しました。

 中尾伸治・ハンセン病国立療養所長島愛生園自治会長は「今日から明日への解決につながるように願っている」と歓迎あいさつ。

 「島の生活を語る」「隔離の島から生まれた当事者運動」「邑久長島大橋の架橋運動から学ぶもの」と題した対談と座談会では、当時の療養所がどういう状況だったか、なぜ隔離がつづいたのか、「たたかうしかない」と人間として生をどう守ろうとしたのかを、元長島愛生園自治会長らが証言しました。

 活動報告では、ハンセン病問題基本法の施行(昨年4月)によって、地域住民と交流をすすめる療養所の将来構想の成案がまとまったのは、沖縄愛楽園、宮古南静園、菊池恵楓園にとどまり、将来構想をまとめる作業がすすんでいる療養所も、離島という厳しい地理的条件にあることが指摘されました。

 同夜開かれた国賠訴訟勝訴9周年レセプションには、日本共産党の仁比そうへい参院議員が出席。連帯あいさつしました。

 9日には分科会などを開き、在園者らと懇談・交流します。





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