2010年5月3日(月)「しんぶん赤旗」

世界各地のメーデー

労働法改悪 怒りの行進

労組、政治的立場超え共同

メキシコ

写真

(写真)「スト権を尊重せよ」などと書かれた横断幕をもって行進する労働者たち=1日、メキシコ・ミチョアカン州モレリア(菅原啓撮影)

 【モレリア(メキシコ中部)=菅原啓】メキシコでは1日、全国各地でメーデーのデモや集会が行われ、政府・与党が提起している労働法改悪案に労働者が団結して反対していく意思を表明しました。

 伝統的に労働運動が盛んな中部ミチョアカン州の州都モレリアでは昨年、新型インフルエンザの影響でメーデー行動が中止されたため、2年ぶりの開催となりました。

 早朝から集まった約2万5千人の労働者や市民が、「カルデロン大統領、分かってくれ。労働者は売り物じゃない」などのシュプレヒコールを上げながら、市内の中心街を行進しました。

 カルデロン政権の与党・国民行動党(PAN)が提起している労働法「改革」案は、ストライキ期間の制限、派遣労働の合法化などを含んでいます。これは、他の中南米諸国では1990年代までに新自由主義の名のもとに強行されてきた「労働市場の柔軟化」政策であり、メキシコの労働者が長年の闘争で勝ち取ってきた権利を切り縮める内容をもっています。

地図

 職場の仲間88人と一緒に参加した女性労働者、マリア・アルマンサナさん(38)は、「労働法改革案では年金支給額も減らされようとしている。こんなひどい仕打ちは許せない」と声を荒らげていました。

 メキシコにはさまざまな政治的傾向の労働組合が存在しますが、労働法改悪反対での共同行動が広がりつつあります。首都メキシコ市では労働組合センターごとに別々のデモ行進が行われましたが、モレリアでは、参加したすべての労働組合センターが統一したデモ隊列を組織しました。

 ミチョアカン大学職員統一組合のエドゥアルド・テナ書記長は、「労働法改悪を持ち出した政府のおかげで、逆に労働者の団結が高まっている。団結した労働者、組合は決して負けない」と語っていました。

金融投機 規制求める

「雇用確保を」 46万4000人参加

ドイツ

 ドイツでは経済成長が昨年度マイナス5%となる経済危機の中、ドイツ労働組合総同盟(DGB)、金属産業労組(IGメタル、233万人)、統一サービス産業労組(ベルディ、227万人)など主要労組が全国450カ所でメーデー集会を開催し、約46万4000人(労組発表)が参加しました。

 今年のスローガンは、「よき労働、正当な賃金、社会保障の充実へ向け前進」。労組側は経済危機を引き起こした金融投機の規制や最低賃金制度の確立、持続可能な経済発展の下での雇用確保を訴えています。

 エッセンでの中央集会では、DGBのゾンマー議長が、「恥知らずにも投機が金融危機後も横行している」と批判。「世界規模での金融投機への規制と金融取引への課税が必要だ」と強調しました。

 また、数十万の雇用がなお脅かされているとし、独政府が実施している操業短縮手当特別措置などの延長を求めました。

 今年のメーデーではベルリンなどで、ネオナチグループがデモを計画。これに対しベルリンではネオナチ600人のデモコースに1万人の市民が座り込みをし、デモを阻止しました。(片岡正明)

虐殺現場で33年ぶり

事件の広場 10万人集う

トルコ

 【カイロ=松本眞志】トルコでは1日、イスタンブールのタクシム広場で10万人の労働者がメーデーを祝い、参加者が「メーデー万歳」と書かれたプラカードを掲げ、スローガンを叫びました。

 今年は、欧州労働組合連合(ETUC)加盟の革新労働組合連盟(DISK)、ナショナルセンターのトルコ労働組合連盟(TURK―IS)、トルコ公務員労働組合連盟(KESK)などが共同で集会を開催しました。

 タクシム広場でのメーデー集会は33年ぶり。1977年のメーデーの際、当時、政府情報機関と関係した武装グループが、集まった労働者を襲い、36人が死亡、数百人が負傷しました。以来、タクシム広場ではメーデーを祝うことが禁止されました。

 トルコのエルドアン政権は昨年、同広場でのメーデー集会を認める法案を承認。ETUCのジョン・モンクス書記長は政府の対応と今回のメーデー再開に、「正しい方向への一歩」と歓迎しました。

 メーデー参加者は33年前の「虐殺」事件の解明と犯人逮捕をはじめ、失業の防止、退職金の支払い、失業保険の改善、不公平税の廃止、健康保険の差別的内容の撤廃、最低賃金制の確立、非民主的法律の改定、労働組合活動の自由などを政府に要求しました。

非正規雇用規制 新法制定を表明

ズマ大統領

南アフリカ

 南アフリカ共和国のズマ大統領は1日、同国ダーバンで開かれたメーデー集会で演説し、同国での非正規雇用を規制し、労働者の生活条件を改善する新法の制定を進める考えを示しました。ロイター通信などが伝えました。

 ズマ氏は「経済成長の恩恵が広く公平に共有されていない」と述べ、同国で貧富の格差が広がっている実態を告発。政府が導入する法律は、すべての労働者に人間らしい労働を確保することを促進するもので、請負や下請け、外部委託への規制をはかり、労働者への虐待的な取り扱いの禁止を目指す考えも示しました。

 また、経済的に弱い立場にある労働者を保護する部門別労働協約の締結や労働組合への加入を促進する対策を進める考えを表明。「労働者の利益のために、ともにやらなければならないことは、まだたくさんある」と述べ、同国与党のアフリカ民族会議(ANC)と、その同盟関係にある南ア労働組合会議(COSATU)、南アフリカ共産党の団結を呼びかけました。





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