2010年4月29日(木)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 先日、取材で銀座へ行ったときのことです。歌舞伎座の向かい側の歩道にさしかかると、携帯電話を掲げる人がずらり▼みんな、写メールで歌舞伎座を撮っています。やがて取り壊される劇場の、古風で華麗な姿を惜しむ人たちです。きのう、さよなら公演の千秋楽をしめくくった演目は、「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」でした▼江戸吉原で、けんかを売って歩く助六。早口で悪態をつき、たんかを切る。「野郎め、鼻の穴に屋形船を蹴(け)り込むぞ…。大どぶへさらい込むぞ」といった具合。聞く庶民の、胸のもやもやを晴らします▼助六ほど激しい言葉でなくても、世に「なんだ、これは」といいたい人は多いでしょう。歌舞伎座の建て替えをめぐっても、聞かれます。86年前に建ち、60年前、戦災から復興した歌舞伎座。伝統芸能の殿堂、銀座の街の顔です。建物を設計した岡田信一郎は、鳩山首相の祖父の家だった鳩山会館の設計者でもあります▼国の文化財への登録からわずか3年の05年、「老朽化で建て替え」の話がもちあがると、日本建築学会が求めました。「かけがえのない文化遺産の価値を最大限に考慮した保存改修を」。が、歌舞伎座は29階建てビルと一体となります▼完成予想図によれば、四角いビルの下の劇場は、屋根以外は洋館のようです。今の外観を残す案に、石原都知事は「銭湯みたいで好きじゃない」「オペラ座のようにした方がいい」と注文をつけました。これからいっそう、歩道は携帯やカメラを持つ人でごった返すでしょう。





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp