2010年4月26日(月)「しんぶん赤旗」

軍事費・高速道路・政党助成金

「事業仕分け」 メス入らず

NHK番組 笠井氏が批判


 日本共産党の笠井亮衆院議員は25日放送のNHK番組「日曜討論」で、47の独立行政法人(独法)と151事業を対象に政府の行政刷新会議が始めた「事業仕分け」について、所管の枝野幸男行政刷新相、与野党代表と討論しました。


 「事業仕分け」を通じて事業の仕組み・制度などを変えていくと表明した枝野行政刷新相に対し笠井氏は、昨年の「事業仕分け」では軍事費にメスが入らず、逆に増額となったと指摘。「本当にメスを入れなければいけないところに入れているのか」と述べ、独法を対象にした今回の「事業仕分け」でも最大の国費を投入する高速道路機構が対象外となっていることを明らかにしました。

効率性だけで割り切れるか

 さらに笠井氏は、そもそも本来国が行っていた仕事を「行政の減量化」といって国の機関から切り離してつくったのが独法だと述べ、「公的に担っていかなければいけない部分はどうしてもある。それを全部効率性、費用対効果で割り切っていいのかとの問題もみなければいけない」と強調。今回の「事業仕分け」では国立病院、労災病院について「利用率が低い病床は削減を」などの議論が出ているが、「国立病院一つをとっても、へき地、災害、出産、小児、救急などさまざまな機能を持っている。それをきちんと守らないといけない」と述べました。

 これに対し枝野行政刷新相は「どうしても公に支えなければならない医療をどう守るかの観点で全体の議論をやっている」と弁明。笠井氏は「しかし、(『事業仕分け』の結論として)事業縮減を決めた。非常に危ない面がある」と反論しました。

 自民党の河野太郎幹事長代理は「『事業仕分け』はムダ削減に有効。(政府が対象にした)47法人以外を自民党は担当する」と競い合う姿勢を示し、公明党の西田実仁副幹事長も「『事業仕分け』はどんどんやるべきだ」と述べました。

行政チェック 国会が果たせ

 独法への国家公務員の天下りが議論になりました。

 笠井氏は、省庁から関連企業への天下りが続いているなかで、独法がその「踊り場」の役割を担わされている部分があると指摘し、「独法があるから天下りがなくならないのでなく、天下りがある限り独法を使う関係だ。天下りそのものを厳格に禁止すべきだ」と述べ、その点で「斡旋(あっせん)禁止」にとどめる民主党の姿勢は野党時代から後退していると批判しました。

 そのうえで笠井氏は、独法への天下りの問題を含めた「事業仕分け」全体の議論について「立法府が行政に対するチェック機能を果たすために、ぜひ国会でやるべきだ。当事者、役人は参考人としてきてもらい、国民の意見も聞くということで、国会こそ役割を果たすべきだ」と提起しました。

 枝野行政刷新相は「大きな意味でそういう方向にさせていただければと思っている」「ムダはどこにあるか、そういった建設的な議論をぜひみなさんでしていただければ」と答えました。

 ムダ削減の議論に関して笠井氏はあらためて「大きな『聖域』にずばっとメスを入れなければだめだ。そうでなければ(最初に指摘した)高速道路機構の問題で1メートル1億円の東京外環道(建設)という話になってくる。もっと広い意味でいえば、(日本共産党以外の政党は)320億円の政党助成金については指一つ触れない。ほんとにメスが入れられるのかが国民から問われている」と強調しました。





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