2010年2月23日(火)「しんぶん赤旗」

「もんじゅ」運転再開容認

国の安全委 14年超停止の高速炉


写真

(写真)高速増殖炉もんじゅ=福井・敦賀市(04年8月10日撮影)

 1995年のナトリウム漏えい・火災事故後、14年以上にわたって運転停止中の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、国の原子力安全委員会は22日、運転再開を容認した経済産業省原子力安全・保安院の報告書について、妥当と判断しました。再開に向けての国の手続きは耐震安全性に関する検証作業が残っており、実際に再開するには、さらに地元自治体の同意が必要です。

 鈴木篤之委員長は「あくまで試験運転への出発点。安全確保への不断の取り組みが求められているのは言うまでもない」と述べました。

 もんじゅでは95年12月、2次系配管内の温度計のさや部分が破損。高温のナトリウム(冷却剤)が原子炉補助建屋内に漏えいして火災が発生する事故が起きました。



解説

独立した規制機関確立を

 経済産業省原子力安全・保安院の専門家による安全性検討会が「もんじゅ」の運転再開を容認する報告を出したのは、今月10日です。原子力安全委員会は、それから2週間足らずで、その報告を妥当としました。

 日本の原子力規制行政は、一次規制機関である原子力安全・保安院が推進機関の経済産業省内に置かれていることなど、問題点が指摘されています。

 原発の危険に反対する住民運動団体などが国に対して、規制機関の推進機関からの独立を求めると、国は決まって、原子力安全委員会によるダブルチェックが行われているとして、「問題ない」との対応を続けてきました。

 「もんじゅ」の運転再開に対しては、(1)燃料に毒性が極めて強いプルトニウムを使うこと、(2)冷却材に空気や水にふれると激しい化学反応を起こすナトリウムを使うこと―など、さまざまな懸念が示されています。

 原子力安全委員会が、原子力安全・保安院の報告をわずか12日後に妥当としたことは、初めから、「もんじゅ」運転再開に向けて手続きを進めただけといわれてもしかたありません。推進機関から独立した規制機関の確立が求められます。(間宮利夫)


 高速増殖炉「もんじゅ」 プルトニウムを含む燃料を使い、使用した以上のプルトニウムを生み出せる“夢の原子炉”として開発された高速増殖炉の原型炉。日本より先に開発に取り組んだ欧米各国は、技術的困難さや巨額な費用がかかることから、開発を断念しています。



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