2010年2月21日(日)「しんぶん赤旗」

主張

税制改正

「消費税頼み」をやめてこそ


 個人所得税の確定申告の季節です。税金の無駄遣いや政治家の腐敗への怒りを新たにし、改めて税金について考えさせられる時期でもあります。

 自公政権は大企業・大資産家に法人税や株取引などの減税を繰り返してきました。その一方で、庶民には定率減税の廃止や高齢者増税など負担増を強い、消費税増税に執念を燃やし続けました。

 ふところが冷え込む庶民に厳しく、お金が有り余る大企業・大資産家に甘い「あべこべ」のやり方への怒りは、自公政権を退場させた大きな原動力となりました。

審判を受け止めるなら

 総選挙で鳩山政権は「任期中の4年間は消費税を引き上げない」と国民に約束しました。しかし早くも菅直人副総理・財務相は、「消費税を含む税制改革」の議論を来月から前倒しして開始すると表明しています。菅財務相は「(消費税の)議論そのものは封印していなかった」とのべていますが、そんな説明では納得できません。

 つい先月まで、菅財務相は次のようにのべていました。「この1年は徹底的な財政の見直しを進めていく。その上で必要なら消費税だろうが環境税だろうが議論していく」(1月11日付「産経」)

 「徹底的な財政の見直し」は、どこにいったのでしょうか。きちんと国民に説明すべきです。

 閣僚からは「消費税率を20%にしても、それだけでは追いつかない」(仙谷由人国家戦略相)など、消費税増税を求める発言が相次いでいます。前政権が強行した改定所得税法の「付則」は、2011年度までに消費税増税法を成立させると規定しています。これは鳩山政権の公約と矛盾しますが、政府は廃止しようとしません。

 この流れで進むなら、政府の税制の議論は消費税の増税を準備する議論にならざるを得ません。これでは「任期中は消費税を増税しないが議論は大いにやってくれ」と言って消費税増税の準備を進めた、かつての小泉内閣のやり方と変わらないではありませんか。

 国民が政権交代に託した思いは“4年後には消費税を増税してもよい”などというものではないことは明らかです。旧政権を退場させた国民の審判と願いを正面から受けとめるなら、鳩山政権がやるべきことは消費税に頼らずに財源を生み出す道の真剣な追求にほかなりません。

 そのためには何より、旧来の無駄と浪費の根本見直しが不可欠です。米軍への「思いやり予算」、「米軍再編」や自衛隊の海外派兵体制づくりの予算など抜本削減を目指すべきです。税制でも、大企業・大資産家を甘やかす旧来のやり方を改め、行き過ぎた減税を是正することが求められます。

転換迫る世論と運動を

 日本共産党の志位和夫委員長との会談で鳩山由紀夫首相は、志位氏の提起に対して、所得税の最高税率引き上げと証券優遇税制の見直しを「検討課題にする」と答えました。「大企業の内部留保を還元させる具体的な方法を検討してみたい」とものべています。

 こうした前向きの姿勢の最大の障害は鳩山政権に根強い「消費税頼み」です。「消費税頼み」と決別してこそ、旧来のゆがんだ財政を徹底して見直すことができます。

 国民が求める方向での変化を引き出し、実行を迫る世論と運動が決定的に重要です。



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