2010年2月12日(金)「しんぶん赤旗」

主張

高速料金不払い

米軍の横暴勝手をやめさせよ


 米兵が私的な遊びのために高速道路を無料で利用している問題で、会計検査院は昨年10月、「適切ではない」と、米軍業務を担当する防衛省に改善処置を要求しました。ところが米側はいまだに是正しようとしていません。

 岡田克也外相は昨年、米側と協議していくと約束していますが、協議が進んでいる様子はまったくありません。“遊び”の負担という異常を正すには、米軍の不当な言い分を絶対に許さない毅然(きぜん)とした態度が必要です。

「解釈の相違」の誤り

 米兵やその家族がレンタカーやマイカーを使ってディズニーランドや温泉など行楽地に行くのに、通行料を払わないで高速道路を通行していることは重大です。

 米軍地位協定は「公務」=軍務のための米軍車両は無料で高速道路などの有料道路を通行できることとしていますが、私的な遊びのための通行料まで無料にしているわけではありません。会計検査院が「公務」「私的」を区別した通行実績について、防衛省を通じて問い合わせても、米軍は説明を拒否しています。

 米軍が「レクリエーションは軍の生活の重要な一環」(2008年6月16日付「星条旗」)だと、私的な利用を「公務」のようにいうのは通用しません。米軍が遊びを「公務」と強弁し通行料を払わないで通行させているのは、米兵の経済負担を減らし不満をそらすのが狙いです。米軍の勝手な事情で、無料にした料金分を国民に負担させる根拠はどこにもありません。

 米軍の不当な言い分を正させるために、対米交渉を行うことは重要です。しかし協議にのぞむ基本的立場が問題です。外相は遊びのための高速道路通行料金不払い問題について、「日米間で解釈の相違がある」といっています。

 遊びを「公務」とする米軍の言い分は、米軍地位協定にもまったく根拠がありません。それなのに、日米間の「解釈の相違」とみること自体間違いです。それは米軍の言い分にも一理あると日本側が認めることにしかならず、問題の根本的な解決にはつながりません。

 実際、「解釈の相違」論が日米協議の弊害になっている事例がほかにもあります。爆音被害の賠償についての日米協議です。横田基地や嘉手納基地などの米軍機の爆音訴訟で、米軍は総額120億円もの損害賠償を裁判所から命じられています。にもかかわらず、米側は「立場の違い」を理由にいまだに支払いを拒否しています。日米協議にもちこんだものの、日本側が米側には米側の解釈があるとの立場をとっているため議論が平行線をたどっているからです。日米に「解釈の相違」があるというのではなく、米軍の不当な言い分そのものを正す立場が必要です。

卑屈な姿勢やめてこそ

 こうした道理に合わない問題は、遊びのための高速料金不払いや爆音訴訟だけではありません。車庫証明も添付しないでYナンバー(米軍車両)の私有車を保有する車庫法違反などもそのままです。米軍地位協定にも違反した米軍の横暴勝手を放置できません。

 国民は対米従属の異常を正したいと強く願っています。この国民の願いに応え、こうした米軍の横暴勝手な振る舞いをやめさせるために、政府が米側に強く迫るよう、求めていくことが重要です。



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