2010年2月3日(水)「しんぶん赤旗」

主張

鳩山首相答弁

政治的道義的責任の自覚ない


 衆参両院本会議での鳩山由紀夫首相の施政方針演説に対する各党の代表質問で、最大の焦点の一つになっているのが、小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」に絡む土地購入資金問題です。

 鳩山首相は施政方針演説で自らの虚偽献金疑惑はわびたものの、小沢氏の事件については一言もふれませんでした。代表質問への答弁でも、「検察の捜査を冷静に見守っていきたい」といった答弁に終始しています。政治的道義的責任についての自覚を、あまりに欠いた態度というほかありません。

刑事責任の追及免れても

 日本共産党の志位和夫委員長が代表質問で指摘したように、検察など捜査当局による刑事責任の追及と、国会の場での政治的道義的責任の追及は、別の問題です。たとえ刑事的な訴追を免れたとしても、政治資金の公開性の確保や政治をゆがめていなかったかなど、政治的道義的責任のうえであいまいにできない問題があります。

 小沢幹事長の資金管理団体の土地購入に絡んで指摘されているのは、政治資金収支報告が正しく行われていたのかとともに、その資金の出所に問題はなかったのかということです。事件では現職の衆院議員を含む小沢氏の現・元の秘書3人が政治資金規正法違反で逮捕され、小沢氏自身検察の聴取を2回受けたことが明らかになっています。小沢氏はもちろん、民主党代表の鳩山首相が疑惑を解明し政治的道義的責任を明白にするよう求められるのは、明らかです。

 この問題での小沢氏の説明は、収支報告書の虚偽記載への関与は否定しながら、資金の出所については「政治献金」「銀行の融資」「個人資産」と二転三転させるというあいまいなものです。小沢氏は1日の記者会見でも「やましい金はうけとっていない」といいますが、やましくないなら国会と国民の前に堂々と説明すればいいのに、それをしないのは「やましいから」といわれても仕方ありません。

 疑惑の核心は、東北地方の公共事業発注に大きな力を振るってきた小沢氏が、「胆沢ダム」などの発注と引き換えに、「水谷建設」などのゼネコンから裏献金をうけとり、土地購入資金にあてたのではないかということです。文字通り、金のために政治をゆがめたといわれる、税金の“還流”疑惑です。

 その疑惑は、政治に携わるものの責任として、なにはさておいても解明し責任を追及しなければならないものです。「検察の捜査を見守る」一点張りの鳩山首相の態度は、国民に選ばれた国会議員の一人としても、責任を果たそうとしないものです。その態度がきびしく批判されるのは当然です。

国会の到達点を無視する

 重大なのは、志位委員長が代表質問で批判したように、そうした鳩山首相の態度が、国会が切り開いてきた政治疑惑解明の到達点さえ無視していることです。

 1976年のロッキード事件の際の国会での合意は、検察の捜査と国会での追及が“車の両輪”となって疑惑解明にあたるということでした。この点での真摯(しんし)な対応を求めた志位委員長の追及にさえ、首相が「国会のことは国会で」としか答えなかったのは重大です。

 鳩山首相の姿勢を追及するとともに、小沢氏を参考人に呼ぶなど国会が究明の責任を果たすことがいよいよ重要になっています。



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