2010年1月27日(水)「しんぶん赤旗」

ベトナム研究代表団と不破社研所長が会談


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(写真)会談するホアン・チー・バオ氏(左から5人目)を団長とするベトナム理論評議会研究幹部代表団と不破哲三党付属社会科学研究所長(右から2人目)ら=26日、党本部

 日本共産党の不破哲三社会科学研究所所長は26日、党本部で、ベトナム共産党のホアン・チー・バオ中央理論評議会委員・専任書記を団長とする同党の研究代表団と会談しました。

 会談では、ベトナム側から事前に出された質問に基づき、不破氏が、(一)日本共産党の第25回大会の特徴、(二)2004年に採択した党の新しい綱領で、前の綱領からどういう点を発展させたか、(三)今回の世界経済危機の見方、(四)ベトナムの社会主義発展の今後についての意見、などについて説明しました。

党綱領の真価を発揮した大会

 (一)不破氏はまず、日本共産党の綱領が日本資本主義の異常な特質を明確に指摘し、それを打破するところに日本の社会進歩の前途があるとしていることを紹介。国民の審判で自民党政権が打倒されたが、まだそれにとってかわる新しい政治の方向は国民的な探求の過程にあり、党大会がそのことを「過渡的な情勢」と規定した意味を解明しました。他の諸党が与党・野党ともに混迷を深めているなかで、日本共産党が綱領にもとづいて新しい政治をきりひらく国民的探求の先頭に立っている状況を示し、「党綱領の真価を発揮した大会だった」と述べました。

 (二)新しい綱領の問題については、最初に、61年綱領から出発して2004年の新綱領に到達するまでの党の理論的発展のあらましを解明、(1)日本革命の路線、(2)世界情勢の見方と世界資本主義の発展段階のとらえ方、(3)社会主義の問題などについて、新しく解明した諸点について説明しました。

ソ連問題の歴史的評価は不可避

 社会主義の問題では、まず、「崩壊したソ連への歴史的評価は過去の問題ではなく、今後の発展のためにも避けて通れない問題だ」として、ソ連問題をとりあげました。

 不破氏は、日本・ベトナム両党の最初の本格的な出会いとなった1966年の両党会談について、そこで相互の経験を踏まえつつ「いかなる大国の干渉も許さない自主独立の立場」を確認しあったことが、今日の両党関係の起点となったことをふり返りました。そして、その後の歴史の中で日本共産党が到達し、党綱領に定式化したソ連問題の歴史的評価の基本点について話し、ソ連崩壊によって開かれた新たな発展の可能性は、その誤りを克服する意識的努力によってこそ実現できる、と強調しました。

 社会主義の理論問題としては、マルクスの「過渡期」論の探求が必要なこと、未来社会を「社会主義」と「共産主義」の2段階に分けるとらえ方を、新綱領ではマルクス本来の見地に立ってのりこえたことなどを、説明しました。

 (三)現在の世界経済危機の問題では、日本共産党がこれを「金融危機と過剰生産恐慌の結合」としてとらえ、過剰生産恐慌にその土台があると見ていること、その全経過がマルクスの恐慌理論の現代的な実証となっていることを指摘するとともに、恐慌の発信地となったアメリカ資本主義およびそれが世界に押し付けた「新自由主義」の政策体系の問題についても解明をおこないました。

ベトナムの社会主義発展について

 (四)不破氏は、最後の、ベトナムの社会主義発展への意見については、「外から、それもかなり遠くから見ている者の意見なので、参考になれば、という程度に聞いてほしい」と前置き。

 そのうえで、「市場経済を通じて社会主義へ」という路線をすすむ場合、(1)この経済が社会主義をめざす部分と資本主義的な部分との共存体制となっていることを注視し、経済全体の成長・発展の努力と同時に、社会主義をめざす部分をどのように発展させ、経済の骨格を形成するようにするかの戦略的な方針を追求すること、(2)どんな困難に直面した場合にも、それを打開する原動力は社会主義を志向する国民的な自覚の強さにあり、政権党の立場にあっても、社会主義をめざす国民的多数派の形成の不断の努力が必要ではないか、これは、社会主義と革命の精神を革命後の新しい世代が継承してゆくという新しい問題であり、その努力に期待していること、などの問題を提起しました。

 過去2回の両党の理論交流(07年・東京、08年・ハノイ)にも参加したバオ団長は、社会主義の問題や世界経済危機の問題、ベトナム社会主義の問題など、不破同志の説明を肯定的にうけとめることができると発言。「ベトナム共産党は、来年初めの第11回大会で綱領の発展・補充を検討している、資本主義の中で活動する日本の同志たちの意見は、客観性をもっており、われわれに有益だ」と述べました。

 この日の会談には、日本側から、西口光国際委員会副責任者、森原公敏同事務局長、山口富男社研副所長、田川実、辻慎一両書記局員、小野秀明社研事務局長ら、ベトナム側からズオン・ミン・ドク中央教育・宣伝委員会局長、ブーイ・バン・フン中央理論評議会事務室長・科学専任書記、ギエム・スアン・ミン科学技術省社会・自然科学局局長、ギエム・ミン・ホア同省副局長らが参加しました。


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